8.ゴージャスあいのやま
手持ちの地図は古く、一年ほど前にオープンした
前橋荻窪温泉あいのやまの湯は載っていなかった。
適当にナビで荻窪町の荻窪公園を入れたら、公園の隣があいのやまの湯だった。
夕闇の中に浮かび上がった施設は、ゴージャスとは聞いていたが本当にゴージャスなセンター系だった。
オープン前の仮設営業の時は、ごく簡素な施設だったらしいが、何しろこの辺りの市町村はこぞって公営の立派なプール付き温泉を運営している。吉岡町の
リバートピア吉岡とか、赤城村の
ユートピア赤城とか、渋川市の
スカイテルメ渋川とか。
最後にして最大の前橋市が、大都市の威信を懸けて作り上げたと言わんばかりのあいのやまの湯だった。
寒がる子供たちをせかして中に入った。
混んではいるが、駐車場も下足ロッカーもまだまだ余裕だ。
お腹が空いていたので先に食事を取ることにした。
椅子の席と畳の席がある。みんな畳を選ぶのか、椅子席の方はがらがらだった。やっぱり温泉では畳だろう。我が家も畳の方にした。
あいのやま定食とさっぱり味の掻き揚げ丼を注文した。
あいのやま定食の付け合わせ、たこわさびがなかなかいける。こういう公営センター系は食事処もなかなかリーズナブルだ。
子供たちは食べるのもそこそこ、遊びたくて仕方ない。
あいのやまの湯には、ちょっとしたキッズコーナーがあるのだ。小さな滑り台やままごと道具が用意してあって、幼稚園ぐらいの子供たちがみんなそこで遊んでいた。
頼んだメニューが来る前と、食べ終わった後に遊んで良いと言ったので、食後もカナはレナと連れだってキッズコーナーにとんでいった。
あいのやまの湯に到着したのが7時過ぎ。
のんびり夕食を終えて8時。
閉館の9時まであと1時間。ゆっくり一風呂浴びて、東京へ帰るようだ。
ベビーベッドもちゃんと備え付けの脱衣所。
清津峡小出温泉では髪も洗えなかったのでここでしっかり洗う。
この前橋荻窪温泉、実は伝説の仮設時代、群馬有数の良質泉かもしれないと評判が高かった。ちょうど埼玉で
清河寺温泉というパチンコ屋の駐車場で一時期仮設無料開放された温泉があったのだが、同じ頃、この前橋荻窪温泉も一時的に無料開放されていた。
そして奇しくも同じ2003年10月末日、両施設はクローズした。
前橋荻窪温泉は、本格的な日帰り温泉施設建設に着手するためだった。
数ヶ月の工事期間を終えて、生まれ変わってオープンしたあいのやまの湯は、室内プールを始めとして大浴場、露天風呂、大広間休憩室、レストラン、貸切風呂付き個室、整体、研修室など無いものはない立派な施設になった。
がしかし、その反面お湯の個性は失われたらしいとそんな話も聞こえてきた。
だから今回、ほとんどお湯的には期待していなかった。
時間を快適につぶせて、温泉に入れればいいやぐらいの気持ちだった。
ただ、あまりにも新潟で良い温泉に入れたので、最後の締めがあまりにひどいと、今までの楽しかった気分が半減してしまうようでもったいないなとは思っていた。