子連れ家族のための温泉ポイント![]()
- 温度★★★☆☆ 泉質★★☆☆☆ 露天風呂は適温、泉質は少し刺激あり
- 設備★☆☆☆☆ 雰囲気★★★★★ 赤ちゃん向けの設備は無いが景観の良い混浴露天風呂有り
子連れ家族のための温泉ポイント![]()
2004年のレポートの後ろに2024年のレポートと画像を追加した。2024年は宿泊して取材、浴室・露天風呂撮影も許可をいただいている。
車はスイッチバックしないと上れないような山道、中国の山水画のような断崖絶壁の景観、ラストは吊り橋。これぞ完璧な秘湯というものだ。
開湯は今から450年ほど前。創業は室町後期。
今は日本秘湯を守る会にも名を連ねる。
7、8年前に訪ねたときは、途中の滑川温泉から徒歩で昇った。
雪解け前の道の端には小さな蕗の薹がいくつも顔をのぞかせていて、山の春はもうそこまで来ていた。
当時は混浴に臆してついに女湯露天風呂にしか入らずじまい。それが後々まで心残りとなっていた。
あのときは滑川から先の道はダートコースだった。今はほとんど舗装されていて多少道幅も広くなり、スイッチバックのカーブも巧くハンドルを回せばスイッチバックしなくても登ることができるようになった。
それでも姥湯の手前はダートのままである。
ゴールデンウィーク最終日。
お昼過ぎだったが、かなり車の往来がある。この道の先にはもう姥湯しかないのだから、行き来する車はみんな露天風呂目当てだ。
岩の崩れた後のような、茶色く露出した崖が見えてくると、ああ、姥湯に来たんだなと思う。
道の途中で二台の車に追い抜かれたが、ほとんど無秩序に停められた駐車場のタイミング良く空いたスペースには、私たちを抜いていった赤い車がすっと入ってしまった。
呆れるほどに混んでいる。
だけど呆れるにはまだ早かった。
風呂の混雑は駐車場の比ではなかったのだ。
建物は見えているが、意外と離れている。吊り橋を渡って急な坂道を登らなければならない。宿泊する人の荷物はケーブルで運ぶので、吊り橋の横に荷物用のケーブルが見える。
桝形屋の入り口を開けると、待ってましたというように、中に入らなくても入浴料が払えるように係りの人が立っている。
寒いので体は冷え切りがたがた震えている状況で、混雑の中、狭い坂道を濡れた他の人とすれ違いながら行くのは難儀だ。
なかなかどうして辛い行程だった。
最初に右手に女性用露天風呂がある。そこを通り過ぎてさらに登ると混浴の露天風呂が二つ。混浴露天風呂の手前に、男性用も女性用もなくほとんど丸見えの脱衣所がしつらえてあり、これまたぎゅう詰め。女性は女性用露天風呂の脱衣所を使うのが得策。しかしそちらも嫌になるほど混んでいる。
混浴の露天風呂二つは上下に並んであるが、それほど景観に差はないと思う。上流の露天風呂の横に、源泉を冷ますための木の枠がある。
やっぱり景色だけは比類無き露天風呂。
このロケーションだけは滑川温泉もまるで歯が立たない。
山の見える露天風呂はいくらもあるけど、この切り立つ岩山は他にない。すごいと思う。
でもこの人混みはなんだよう(涙)。
町中のスーパー銭湯じゃないんだからさぁ・・・。
お風呂の中に入っている人は数人だが、どういうわけかお風呂の周りに人人人・・・。ぐるりとタオルを巻いたり、服を着たりした人がぎっしりといる。しかも雨なので、みんな濡れそぼって。
もうほとんど、私たち、何しに来たんだ?と自問自答。
お湯は青みがかった乳白色。滑川とよく似ている。湯の花は滑川よりずっと細かく、濁りももうちょっとあるので膝下までは見えない。
強いゆで卵臭。軽い酸味と苦み。刺激はほとんどない。
昨夜、滑川温泉の露天風呂で聞いた話。
「滑川のさらに先にある姥湯は、今も絶景とか言うけど昔はもっと凄かったんだよ。平成元年かな、あそこの岩が崩落してすっかり見える景色が狭まっちゃってね。そうそうその頃は、河原でもちょっと掘ると温泉が湧いて、これがまた雰囲気いいんだよ。今はもう危険だとかで河原に降りられなくなっちゃったんだけどさ」
当時は正真正銘の秘湯だったと懐かしそうに言った。
今はもう、秘湯の面影どこへやら。
ここから2024年のレポート。宿泊したのはこの時が初めて。

やはり姥湯温泉の露天風呂からの景色は「死ぬまでに一度は」レベル。改めて日本一ではないかと思う(2004年のレポートのように混みすぎている時は実感しないと思うが)。

周辺の景色がね、絶景というよりも、もうSFの世界。人類が滅びた後の世界か、違う惑星に来たみたい。そしてね、お湯のにおいがなんかカルピスっぽいのがまた面白いんだよね。


途中の道路は場合によってはスイッチバックしないと曲がれない悪路だが、車を駐車場に置いたあとの坂道もなかなかきつい。これを自力で上れない人には難しい宿だ。

日帰りの受付は外だが、今回は宿泊なので館内で。山の中の宿なのに部屋まで荷物を運んでもらえる、布団は夕食後に敷きに来てくれる、朝は上げてくれる。期待していた以上に丁寧なサービス。水は貴重だが、蛇口からは飲用水が出る。氷水も部屋に置いてくれた。

お風呂は露天風呂×3、男女別内湯というラインナップ。露天風呂は上流側から「山姥の湯」「薬師の湯」「瑠璃の湯」で、山姥と薬師は混浴、瑠璃は女湯。そして夜と朝に交代タイムがあり、混浴が女湯に、女湯が男湯になる。

一番いい時間帯に混浴が女湯になるとスタッフ。確かに夕日で空がグラデーションカラーになる時間帯に山姥の湯が女湯だったのはとてもありがたかった。

源泉は1種類を各浴槽に分けているが、湧出場所は1ヵ所というよりもその一帯で湧いているという感じらしい。崩落などが新たにあると、そこからまた新しい湯が湧いたりするという。

「山姥」「薬師」はその一帯から集めた源泉をそのまま浴槽に入れ、「瑠璃の湯」は1度湯の花を取って浴槽に入れ、男女別内湯はさらにタンクにいったん入れて残りの湯の花も沈殿させて使っている。源泉が同じなのにお風呂でお湯の印象が異なるとしたら、そのあたりに理由があるらしい。


とにかく姥湯温泉は湯の花が多い源泉で、そのまま使うとパイプが詰まりやすいという問題点がある。そこで一部の浴槽は湯の花を先に分離させ、そこで集められた湯の花は入浴剤として受付で販売している。

一番ワイルドな「山姥の湯」は、まるで仙境のごとく岩肌がそびえたつ。お湯は青みがかった乳白色の濁り湯で、湯口は硫黄成分でクリーム色に染まっている。空と岩肌とお湯の色彩がこの世のものとも思えない。先ほどカルピスのにおいがすると書いたが、味も酸っぱい中に爽やかさがある。




「薬師の湯」は、「山姥の湯」で左手に見えた岩肌が塀の上に正面に見える。この眺めを楽しむならここが良い。



「瑠璃の湯」は少し囲われた隠れ家的な雰囲気あり。




内湯はほぼ透明でわずかに濁りがある。そして底に白い湯の花がたくさん沈んでいる。逆に露天風呂は濁り湯なので底までは見えない。




宿泊したのはこのときが初めてだったが、夕方は雲が淡い色に染まり、寂寥感とともにますます地球外のような雰囲気が増す。夜は満天の星空で、まさに天上の温泉というべき浮遊感。むろん日帰り客がいない時間帯にゆっくり入れるわけで、やはりこの露天風呂は一度は入るべき温泉であり、できれば一度は泊まるべき宿だと思った。

食事や館内の様子については、Yahoo!ニュース エキスパートの宿泊記事をご覧ください⇒アクセスもドキドキ!秘境の温泉宿に泊まり、白濁硫黄泉の絶景露天風呂を満喫しよう「姥湯温泉 桝形屋」