子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質★★★☆☆ 泉質は特に問題無し、内湯は熱め
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★★ 貸切露天風呂ありだが冬は寒いか
子連れ家族のための温泉ポイント
宿の送迎車の名は「エンタープライズ」。もしかしてスタートレック?と聞くと、嬉しそうなオーナー。山奥の秘湯で、冬はもちろん夏場のアクセスも難易度が高いと言われる「新高湯温泉 吾妻屋旅館」だけど、実はとてもあったかいフレンドリーな温泉旅館だ。
一応、日帰り温泉も通年やっている。がしかし、雪が降ると一般車両はとうてい上り下りできない。だから冬は事実上、宿の「エンタープライズ号」で送迎してもらえる宿泊者のみのお風呂となる。どうしても自家用車で雪道を行きたいという場合は事前に宿に相談。車種によってはOKが出る可能性があるらしい(滅多に無いが)。
うちの車は4WDですらないので、最初から送迎をお願いした。確かに凄い斜度で、ほとんどアトラクション気分。宿の標高は1126(イイフロ)mで、まるで測ったよう。どうしてこんなに不便な場所に宿を建てたのかというと、源泉を引いてきて、最も源泉から近く、建物を建てられる平らな場所がそこだったからとのこと。
今のように技術が発達していたら、最初から交通の便の良い麓まで温泉を引いちゃったろうとオーナー曰く。源泉に近いこの位置で新高湯温泉のお湯を楽しめるのは、時代に感謝すべきところかもしれない。冬場のアクセスは大変だが。
お風呂の種類は男女別の内湯「総檜風呂」、混浴の大きな「眺望露天風呂」、やはり混浴の栗の木をくりぬいた「根っこ風呂」、こちらも混浴の「滝見風呂」、女性専用の「大岩たぬき風呂」、鍵をかけて使える「貸切大樹風呂」の6種類。
ただし、冬期は「滝見風呂」と「大岩たぬき風呂」はお休み。するってぇと、女性専用の露天風呂が無い!?
いやいや安心して下さい。夜6時半から8時は女性専用タイム。それもめっちゃ厳しくて、その時間帯は男性が宿から外に出ることが禁じられている。これで女性の皆さん、安心だ。
「貸切大樹風呂」を除き、お湯はほぼ無色透明。薄茶色の溶き卵状の湯の花があり、きしつく。温度は冬だからか少しぬるめ。少し沢水のようなにおいがする。特に「眺望露天風呂」の眺めが良いが、底が少し滑りやすいので注意だ。
夜に内湯に入ったが、こちらはかなり熱かった。吾妻屋旅館の温泉は全て加水も無しの源泉掛け流しだが、内湯から露天風呂に流しているので、内湯の方が熱いのは道理。露天風呂は湯量も絞り気味でぬるめとのこと。なお内湯には源泉シャワーが一つあったが、この時はひねっても何も出なかった。
さっき「貸切大樹風呂」を除きと書いたが、実はここだけ源泉が違う。違うという言い方は正確では無いが。
新高湯温泉 吾妻屋旅館の源泉は自噴しているが、噴泉口は一ヵ所ではなく周辺に点在している。これを集めて一本にしてお風呂に注いでいるわけだが、7~8年前に(逆算すると2010年頃?)思い立って、その中で温度が高く湯量も多かった湯口から、「貸切大樹風呂」に直接注いでみたそうだ。
だから「貸切大樹風呂」の源泉は、(書類上の)源泉が違うというわけじゃないけど、他とは違う、単独の混ざっていない源泉が入っている。それも数ある湧出口のうち、一番温度が高くて濃いやつだ。
その「貸切大樹風呂」のお湯は磨りガラスのような濁り湯。白い湯の花もたくさんあり、他のお風呂のお湯とは全然違う印象。木をくりぬいて船のようにした湯船で、二人で入るのにちょうど良いサイズ。ここだけはっきりしたマッチ臭とゆで卵臭。温度も熱すぎずぬるすぎずちょうどよい。
まさにここは理想的な秘湯。日常のことを忘れて、頭を空っぽにして温泉に入っていたい。
新高湯温泉 吾妻屋旅館に関してはLINEトラベルjpにも記事を寄稿しています。宜しければご覧ください。→山形「新高湯温泉 吾妻屋旅館」秘湯の一軒宿だからこの絶景!