子連れ家族のための温泉ポイント![]()
- 温度★☆☆☆☆ 泉質★★★☆☆ お湯が非常に熱いので赤ちゃんには難しい、泉質は特に刺激無し
- 設備★☆☆☆☆ 雰囲気★★★★★ 赤ちゃん向けの設備は無いが、浴室の雰囲気は素晴らしい
子連れ家族のための温泉ポイント![]()
2004年のレポートの後ろに、2024年に再訪した時のレポートを追加した。
白布温泉は蔵王高湯、信夫高湯と並ぶ奥州三高湯のひとつで、昔は白布高湯と呼ばれた。高湯とは高地にある湯かと思えば、元は「白斑鷹湯」。ここのタカ湯は鷹湯。すなわち白毛斑点の鷹が傷を癒していることにより猟師に発見されたという伝説からきている。
西屋、中屋、東屋と三軒の茅葺き屋根の旅館が並ぶことで有名だったが、誠に残念なことに平成12年、火災のため東屋と中屋が焼失、今は西屋だけが昔の面影をとどめる。
滑川温泉で湯治滞在をした最終日、雑誌自遊人の無料パスポートがあるからどうしても西屋旅館に寄ってみたいという私に、パパが言った。
「お風呂は4、5人が入れる程度の小さいものだって言うじゃない。そこ(西屋)、何があるの?」
・・・何がって言われると・・・。
露天風呂があるわけじゃない。展望があるわけじゃない。
何がって言われると困る。
茅葺きの古い建物だとか、お湯もとてもいいらしいとか、一応いろいろあるけれど、何でここに拘るのかって聞かれると、ちょっと自信がなくなった。
つまらないお風呂だったらどうしよう。
茅葺き屋根の棟の隣に玄関がある。ちょっとドキドキしながら引き戸を開けると、何だか殿様がくつろいでいそうな広い玄関でびっくり。
お風呂は玄関を抜けていったん外に出たところにあるという。靴を脱がなくても行かれるように、土足用の細い通路がついていた。
小さな庭のようなスペースがあり、木造の湯小屋があった。
浴室との間を遮る戸の下の方に一律に隙間が空いており、そこから絶え間なく湯が流れてくる。
だから三和戸を上がったところに簀の子が敷いてあるのだ。廊下の床一面に湯が流れているから。
脱衣所に入ると使用中の脱衣籠がひとつ。先客がいる。
早速子供たちをぬがせて中に入ると、度肝を抜かれた。
これはすごい。
確かに広い浴室ではないけれど、木組みの天井、黒々とした石の浴槽、三本の打たせ湯が滝のように落ちていて、溢れる湯は段差のない浴槽の縁からさざ波を作り後から後から贅沢に流れていく。
この浴室には、風格とセンスがあるのだ。
ここに匹敵するのは法師温泉長寿館の法師の湯ぐらいか。
お湯はかなり熱めで、高いところにある小さい浴槽にダイレクトに注がれ、ここから溢れた分の一部と、三本の湯滝から大きい方の浴槽に流れ込むようになっている。
先客の女性が既にホースの冷水をどぼどぼ入れていたので、低い大きな浴槽のお湯は適温になっていた。薄まっているがこれなら子供たちも入れそうだ。
湯小屋が薄暗いのでお湯の色はよく判らない。お湯の流れるところは石でも木でも墨のように真っ黒に染まってしまっているので、お湯も黒々と見えるが透明なのかもしれない。白っぽい湯の花がふわふわと漂っている。湯中ではきしきしと来る肌触り。臭いや味は強くない。
加水しない高いところの浴槽にも入ってみようとしたが、流石にあまりに熱くて手を入れるのがやっとだった。
仕方なく湯滝にあたってみる。これでもひりひりするほど熱い。
玄関を出て振り返れば、茅葺きでない棟の方には枝垂れ桜が満開の花をつけていた。
そういえば午前中、西屋の前を通りかかったときは仲居さんたちがせっせと窓を磨いていた。
古い家屋を美しく維持するのは大変なのだろう。
叶うなら次は泊まりで来たいと思わせる宿だが、どうかこの風情をいつまでも保っていてほしい。
ここから2024年のレポート。友人と二人での立ち寄り。なお、写真を見るとわかるが、外観も浴室も20年間でほぼ変わっていない。

この時はいろいろラッキーに恵まれていた。大平温泉 滝見屋では宿泊客が全員女で男湯も入り放題だったし、滑川温泉 福島屋ではメンテナンス休館日だったことから取材撮影許可が下りた。


そしてここ、白布温泉 西屋では、本来日帰りは休業するところだったらしいが、たまたま事前に電話を入れたことから、特別に入らせてもらえた(直接行っていたら入れなかった)。なので、外観写真では「日帰り入浴終了」札が出ている。


ちょうど雨が降ってきたところだったので、女将さんは大忙し。雨による自然加水でお風呂の温度が下がってしまったため、10分ぐらい待ってもらって良いかと言いながら、雨合羽を身に着けて飛び出していった。源泉を管理し、温度をコントロールする湯守を務めているからだ。


もちろん待たせていただく。待っている間は風格あるロビーを堪能。昔ながらの母屋の建築に和モダンな調度品、幸運のシンボルである白猿と、飼っている猫ちゃんの写真などが多い。


さて、お風呂へは渡り廊下を通っていく。この渡り廊下がとてもユニークで、通路の簀の子の下をざぶざぶとお風呂からあふれ出たであろう温泉が小気味よく流れていく。この様子、20年前にも感激した。よく覚えている。


脱衣所から浴室に入ると、非常に趣のある浴室が待っている。湯滝風呂といって、西屋を象徴するお風呂だ。



木で組まれた上部、石造りの下部、正面に熱いお湯が満たされた源泉浴槽があり、通常約60度のお湯が入っている(この時は雨でぬるまって50度台)。このお湯は最初に汲んでおいて入浴中に冷まし、出がけにさっとかけると良いと注意書きがあるが、滝状の打たせ湯と使っている源泉そのものは同じだそう。



加水も水道水ではなく、山水を使用。


お湯の色は上から見ると黒く見えるが、おそらく透明に近く、白い湯の花が本当に大量に立体的に待っている。淡い硫化水素臭がして、すべすべしっとりとした肌触り。


音をたてて落ちてくる3本の湯滝を見ていると、湯量の豊富さ、自然に湧いている温泉のありがたさを感じる。この湯滝に背を向けて肩にお湯を当てると、その水圧がとても気持ち良い。疲れが背を叩きながら流れ落ちていくみたい。
