滑川温泉 福島屋

米沢八湯の秘湯 お気に入りの鄙びた湯治宿

[2024年7月・2004年5月のデータ ただし日帰り入浴料金・日帰り営業時間は2026年5月のデータ]

子連れ家族のための温泉ポイント温泉ランキング

  • 温度★★☆☆☆   泉質 ★★☆☆☆   露天風呂は適温、女湯は熱い、泉質はほとんど刺激なし
  • 設備★★☆☆☆   雰囲気 ★★★★★  赤ちゃん向けの設備は無いが鄙びた趣と景観の良い露天風呂有り

滑川温泉 福島屋 宿泊体験レポート

2004年のレポートの後ろに2024年の画像を追加する。2024年の浴室撮影は取材で許可を得て行っている。

桜の時期の滑川温泉 福島屋の外観 滑川温泉 福島屋の木造の館内
滑川温泉 福島屋の滝沿いの外観と古い木造の館内。画像は両方ともクリックで拡大。

 米沢八湯のひとつ滑川温泉は、500年ほど前に平家の侍斉藤盛房が前川で滑って転んで温泉を発見したという由来がある。

 開湯はそれから200年以上たった宝歴13年のこと。当時の上杉藩主の許可を得て、一軒宿の福島屋は湯治場として栄えてきた。
 今も最上階の3階に殿様用の部屋が残されており、ここに泊まれば四方を見渡すことが出来る。

滑川温泉 福島屋の混浴露天風呂の周辺の景色 滑川温泉 福島屋の混浴露天風呂の青い濁り湯
滑川温泉 福島屋の混浴露天風呂とその周辺の景色。画像は両方ともクリックで拡大。

 滑川温泉は自分にとって思い出深い温泉である。
 それは7、8年前のある年のゴールデンウィークのこと。雪のどっさり降った後に春が急ぎ足でやってきたような年だった。

 まだ子供たちもおらず、私たち夫婦と仲の良い友人たちとで滑川に出かけた。
 実は数日前に滑川温泉の一軒宿、福島屋から一本の電話が入ったのだ。何でも雪崩の危険があるのでゴールデンウィークの宿泊予約をキャンセルしてもらえないかというものだった。
 でも私たちは出かけてしまった。予約はキャンセルでも、飛び込みで泊めてもらおうと思って。

 福島屋に着くと、無理を言ってきてしまったにも関わらず温かく出迎えてくれた。

 本当なら連休で大勢の泊まり客がいるところ、古めかしい黒ずんだ旅館内は静まり返り、私たちと数人の常連湯治客、そしてご主人と女将さん、住み込みの従業員さんと数えるほどだった。
 夜にはそのただ一人の従業員さんと鍋をつついて酒を酌み交わし、昔話など聞かせてもらった。

 ぎしぎしとなる階段、床板の隙間から階下の灯りが漏れる二階の廊下。
 予定外のキャンセル事件に、露天風呂もまだ眠りから覚めていなかった。
 冬の間放置されていた混浴露天風呂は、藻などが生い茂りすっかり池のようになっていた。

 翌日到着した従業員さんたちが、見違えるように綺麗に露天風呂を清掃してくれて、私たちはわくわくと今年一番最初の湯がたまるのを待った。
 10センチ、20センチ・・・なんと待ちきれない瞬間だったことか。

 そうして贅沢にもその年の滑川温泉の一番風呂を心からありがたく頂戴したのだ。

滑川温泉 福島屋の館内 滑川温泉 福島屋の障子
滑川温泉 福島屋の館内の様子

 そんな滑川を再訪したのは2004年の5月。山桜が頬を染めるように色づくゴールデンウィークのことだった。
 4歳と6歳の娘を連れて湯治部に4泊したが、以前と変わらず温かく迎えてくれた。

 滑川のお湯は青みがかった乳白色。特に晴れた日は空の色を吸い取ったように青くなる。
 濁りはそれほど強くなく、沈めた足先までうっすらと見えるくらい。
 湯の花は混浴内湯は小さな白い羽毛みたいな感じだが、露天風呂や女湯では消しゴムかすみたいな大きなものもうようよしている。
 強いゆで卵みたいな硫黄の臭いがするが、刺激などは特にない柔らかいお湯だ。しばらく入っているととても温まる。

 露天風呂からは前川の流れがよく見えて、気持ちがいい。子連れなら、夏などこのまま川に降りて水遊びもできる。

滑川温泉 福島屋の混浴内湯 滑川温泉 福島屋の混浴内湯
滑川温泉 福島屋の混浴の内湯。時間帯によって色が違う。画像は両方ともクリックで拡大。

 内湯は混浴大浴場と女性専用とあり、どちらも石の浴槽と木の壁で天井が高く、湯治場の雰囲気をよく残している。
 混浴内湯の近くに古い成分分析表があり、そこに上の湯と下の湯という記載があるが、今は上の湯は使用されていないそうだ。現在使っている源泉は、下の湯を入れて三本。

 混浴内湯が下の湯と、もう一本の混合。下の湯が湯口から出ているぬるい湯で、ゆで卵のような臭いや味は薄くその代わりに淡い金気臭がする。

滑川温泉 福島屋の脱衣所 滑川温泉 福島屋の女湯内湯
滑川温泉 福島屋の女湯内湯とその脱衣所。内湯の画像はクリックで拡大。

 女湯内湯は混浴内湯で混合しているもうひとつの源泉を単独で使っており、一番熱い。加水しなければちょっと子どもは入れないくらいの温度で、ゆで卵臭や硫黄らしい刺激は最も強く感じる。湯口も析出物でごてごてだ。

 最後の一本は混浴露天風呂で単独使用しており、女湯ほどではないがゆで卵臭が強い。

 滑川温泉のこの三つのお風呂全てに入れるのは女性だけの特権だ。混浴が多いが、露天風呂には午後4時から6時までとちゃんと女性専用時間も設けられている(立ち寄り時間外なので宿泊者専用)。

滑川温泉 福島屋の自炊設備 滑川温泉 福島屋の混浴露天風呂
滑川温泉 福島屋では自炊湯治もできる。混浴露天風呂の画像はクリックで拡大。

 なんとなくお気に入りの温泉を再訪するのは楽しみでありながら、怖くもあった。
 期待ばかりが膨らんで、記憶にあるよりも大したことがなかったとがっかりしたり、以前とは変わってしまったと ショックを受けたりするのではないかと、直前まで心配に思っていた。
 それらは全て杞憂に終わった。
 今も又、いや改めて、 滑川温泉福島屋は我が家のお気に入りなのだ。


ここから2024年7月の記録。なんとこの間に20年も経過している。赤ちゃん子供連れでスタートした当初のうちの娘たちが成人してしまうわけだ。時間の流れは恐ろしや。

滑川温泉 福島屋の外観
2024年の滑川温泉 福島屋の外観
福島屋の滝
福島屋の横の小さな滝、岩壁の色が凄い

2025年11月には冬季休業に入ったこの宿を熊が襲うという事件があり、これはとてもショックだった。しかし宿がつぶれることなく営業を続けてくれたニュースには本当にホッとした。

お風呂の状況と外来入浴
朝から外来入浴受付終了の札が出ているのは休館日だから
福島屋の玄関
福島屋の玄関

さて、その熊事件より1年以上前のレポートになるが、この時は友人と二人旅だった。宿泊はせず立ち寄り。湯治場風情は以前とは変わらず、しかしそれを活かしたお洒落な雰囲気になっていた。またその昔(2004年の訪問よりもっと前、1995年頃?)、宿の人が温度が低すぎるから無理だと言うのにチャレンジして、温泉たまご作りに失敗した小屋は、今は貸切露天風呂とその脱衣所に変わっていた。

館内の板張りの廊下
館内の大浴場の表示

滑川温泉 福島屋のお風呂(内湯も露天風呂も)は撮影禁止だが、この時は非常に運が良かったことに取材での撮影許可が下りた。というのは、たまたまこの日がメンテナンスによる休館日で、前夜に泊まった人たちがお風呂から上がった後は、お風呂が無人になることが確定しているタイミングだったからだ(通常は簡単には撮影許可が下りないらしい)。

窓と隣の棟
電灯の灯り

そうした意味でも自分にとっては非常に貴重な浴室写真となる。記事で用いたもの以外も含めて、ここで詳しく紹介したい。

大浴場へ降りる階段
混浴内湯の暖簾
ここから混浴内湯(大浴場)

源泉は上の湯源泉、中の湯源泉、下の湯源泉と3本あり、混浴内湯は上の湯と下の湯、女湯内湯と貸切の檜風呂は上の湯単独、混浴露天の岩風呂は上の湯と中の湯を使用している。

滑川温泉の混浴内湯
青いお湯の混浴内湯
滑川温泉の湯の花
白い湯の花がいっぱい
混浴内湯の湯口
湯口
混浴内湯
混浴内湯の掛け湯槽
掛け湯槽

2004年の画像ではどの風呂もお湯が青いが、2024年のこの時は混浴内湯のみが青、女湯内湯は少し白の混じった翡翠色、檜の貸切露天はそれにさらに少し黄茶色が混ざった色で、岩風呂の混浴露天はほぼ透明だった。2004年やそれ以前に連泊した時も、混浴内湯は青いことが多く、他は日によって変わっていたイメージがある。

女湯内湯の暖簾
ここから女湯内湯
女湯内湯
半月型の女湯内湯
女湯内湯の湯口
湯口
女湯内湯のお湯と浴槽の底のタイル
浴槽の底のタイル
女湯内湯正面から
こうして見ると完全な半月型ではない

お湯のにおいは硫黄が強く出て、硫化水素臭に薬っぽいにおいがプラス。白い湯の花があり、肌がしっとりする。

貸切露天の脱衣所
露天風呂に行くために建物の外に出る。まず正面の小屋が貸切露天の脱衣所
貸切露天風呂
20年前は無かった貸切露天風呂
貸切風呂のお湯

福島屋の内外を歩き回っていると、子どもたちが小さかった当時のことを思い出す。露天に行くために建物を出たところにある広場で花を積んで遊んでいたなとか、階段よこのベンチで他の湯治客とおしゃべりしたなとか。まさに思い出がいっぱいの場所だ。

混浴露天風呂の岩風呂
混浴露天風呂の岩風呂までは川沿いに少し歩く
混浴露天風呂の脱衣所
混浴露天風呂の脱衣所は男女別
混浴露天風呂の湯口
湯口
露天風呂と桶
混浴露天風呂

2024年の取材で、私がYahoo!ニュース エキスパートで滑川温泉 福島屋を紹介した記事はこちら⇒これぞ秘湯!木造建築と川のせせらぎ、露天風呂!ノスタルジックな時間流れる滑川温泉 福島屋へ行ってみた

米沢八湯の他の日帰り温泉紹介

女性の混浴風呂攻略ポイント

  • 混浴露天風呂
     脱衣小屋があって男女別になっているので脱ぐときは安心。問題はその後。お湯に入るときが危険。近くにある姥湯温泉に比較すれば人も少なく入りやすい雰囲気がありますので、何とか隙を見て入っちゃって下さい。濁りは強くないので入浴中も完全に安心とは言えないです。宿泊者なら女性専用時間帯(4~6時)か、夜がお勧め。薄暗いので入りやすいでしょう。
  • 混浴内湯
     こちらも脱衣所は男女別です。宿泊者なら夕食時が狙い目でしょう。女性専用時間帯はありません。