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四万たむらの休日

16.がっちゃんの温泉卵事件



 その頃既に宴会場から部屋に戻ってきた面々は盛り上がっていたらしい。
 今回のオフでの出来事及び宴会中の事件?などをかいつまんで紹介してみたいと思う(事実と異なっている場合は、ぜひ申告して下さい)。

その1 【がっちゃんの温泉卵事件】

 がっちゃんは、川原湯温泉と四万温泉の温泉卵を作り、食べ比べて味の違いを研究したいと言っていた。
 前日からyuko_nekoさんたちは品質の良い卵を入手して、朝から川原湯で温泉卵作りを実行。
 非常にいい感じの温泉卵ができた。
(しかしこの場合の温泉卵とは、温泉で作った卵という意味で、川原湯は温度が高いため、いわゆる白身のゆるい温泉卵ではなく、半熟卵に近い出来だった)

 ここまでは成功。
 実際に川原湯の温泉卵を食べさせてもらってとても美味しかった。

 問題は四万温泉の温泉卵。
 四万たむらには温泉卵製造用の専用コーナーがプールや足湯の脇にある。
 よって、売店でも生卵を販売している。
 だから、通常ならきちんと温泉卵を作ることができるのではないかと思われる。

 が、しかし。

 しかしなのだ。
 がっちゃんが温泉卵を作り始めるより前に、温泉卵専用コーナーを通りかかったやませみさんが、おもむろに温度計を取り出し、すちゃっと湯温を測定し、「これは温泉卵を作るのは無理だ」と判断したと言う。
 そのことを晶ちゃんから聞いたのは、がっちゃんたちが卵を湯の中に入れてしばらく経ってからだった。
 「無理なんだって、がっちゃん」
 でもがっちゃんは諦めない。
 一時間経過したところで卵を引き上げてきた。
 先陣を切ってぱかっと割ってみたのはのび~さんだったか。

 ・・・どろ~。
 全然固まっていない。
 駄目だこりゃ。
 滑川温泉温泉卵大作戦失敗の巻再来だ。


四万たむらの温泉卵製造所にて、がっちゃんが温泉卵を作っているところ 温泉卵製造所の隣にある飲泉所。出汁の利いた塩味で、四万温泉は美味しい。


 これは食べたくないねぇ、と口々にみんな。
 固まらない状態で一時間熱した卵なんて一番やばい状態だ。
 やませみさんに言わせると、温泉卵を作ることのできる一番低い温度はせめて60度で、その場合は3時間かかる。今日の四万たむらの温泉卵製造所は50度台しか無かったので物理的に無理だ、と。
 しかもこの先、夜になるに従って益々お湯の温度は下がるはずだから、あそこで粘っても宜しくない。

 そこへすかさず、ジモティ小枝子パパの一言。
 「おい、いい場所知ってるぞ。そこに行けば20分で完璧な温泉卵が作れる」
 どこどこ?、と、みんな。
 「積善の橋を渡り終えたところに下へ降りる階段がある。そこを降りていくと源泉がどぼどぼ出ていてそれを受けるたらいのようなものがある。その中に入れれば一発だ」

 がっちゃん、しばし思案。
 外はもう暗くなって、昼間より格段に冷え込んでいる。
 yuko_nekoさんは「やめなよ」と言う。

 しかし結局意を決してがっちゃんは出発した。
 そのままでは腐ってしまう生暖かい卵を持って。
 もちろん心配するyuko_nekoさんも一緒だ。
 「いってらっしゃ~い」
 無責任な残りのメンバーは、明るく見送った。

 20~30分経過。

 戻ってきたお二人談。

 積善館の橋を渡って階段を降りたものの、小枝子パパの言う源泉が見つからない。
 「そんなはずは無いよ、おい。俺は子供の頃からよくあそこにお湯を汲みに行ったんだぜ」と小枝子パパ。
 とにかく源泉は見つからなくて、川沿いに少し下ってみた。
 しばらく行くと、何本かどばどばとお湯が出ているところがあった。
 やった、これだ!!
 と、思ったのもつかの間、どうも温度が低そうだ。(触ってみたらしい。触れるくらいじゃ温泉卵を作るのは無理だ)
 「それは積善館の排湯だよ。元禄の湯とか、他の風呂の」と小枝子パパ。
 みんなどっと笑い。
 がっちゃんたちもこれは違うと判断した。
 そして、おかしいなぁと思いながらもさらに下ると、ようやく熱い源泉が溜まっているところがあった。
 小枝子パパ 「?」。
 そこに卵を漬け、待つこと15分。
 ようやくそれらしいものができて引き返してきたという。
 なお、がっちゃんは浴衣に半纏姿だったが、襟元があまりに寒そうなので、後ろからyuko_nekoさんが手の平を首筋に当てて、待っている間中温めていたそうだ。
 ああ、夫婦の鑑だよねぇとみんな頷く。

 そしてそのときは顛末を聞くのに夢中で終わってしまい、ずいぶん後まで実際の卵がどうなったか失念していた。
 夜中を過ぎてからだと思う。
 私はふいにあの温泉卵がどうなったか気になりだした。
 晶ちゃんに聞くと、出来上がってすぐに食してみたら、これが完璧な温泉卵で、白身は半分とろけ、黄身はほどよく固まっていたという。
 「まだ残ってる?」
 「うん、その辺にあるはずだよ」
 スーパーのがさがさ袋に入っていた。
 しかし覗き込むと・・・

 うーむ。
 中に残っていた卵はいくつかが割れて中身が出ていた。
 中身というのはつまり、川原湯と違い白身が固まりきっていない温泉卵だからして、中はちょっと悲惨な様子に・・・。

 結局、私は四万温泉の温泉卵を食べることはできなかった。
 他にも期待していたのに食べられなかった人が何人もいたらしい。

 今回の教訓。
1.温泉卵を作るときはお湯の温度を確かめよう。60度以上ないと卵は固まらない。いくら熱くても、手をつっこめる程度のお湯に卵を入れるのはリスキーなのでやめよう(笑)。
2.持ち歩いたり、袋の中に入れておいたりする可能性があるならば、白身の柔らかい本当の温泉卵ではなく、白身の固い半熟か固ゆでぐらいにしておいた方がいいかも。

 やませみさん曰く、意外と温泉卵を上手く作れる温泉は少ないとのこと。
 確かに今まで本物の温泉で作った温泉卵と言えば、小野川温泉湯の峰温泉で食べたが、そのどちらも温度が高すぎて固ゆでになっていたっけ。



1-17.中島屋小枝子パパ鉄人伝説へ続く


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