二階の離れに戻るとパパが町の湯に置いてあったから一枚もらってきたと、「全国平成 温泉番付」と勘亭流フォントのコピーを見せてくれた。温泉教授で知られた松田忠徳氏が作成したもののようだ。
なになに、西の横綱 俵山温泉。
す、すごいな。別府と並んで横綱になってる。あの別府だよ、別府。
よく見ると西は大関に長湯温泉と地獄温泉、関脇に栗野岳温泉、小結に新川渓谷温泉郷(妙見温泉とか)・・・この1年ぐらいで二度九州に行って入った温泉ばかり上位に入ってる。下手したら東の温泉の方が入っていないところ多いや。まずいな(まずくないか)。
お風呂に入ってさっぱりした後はお酒と食事。さっき道の駅 北浦街道ほうほくで買った刺身。
これがねぇ、本当に美味しいの。特にアワビ。このアワビの刺身絶品。東京の適当な店で食べたらいったいいくらするだろう。
いやーもう、山口来て良かった。
そうそう、今回俵山温泉に宿泊を決めたもうひとつの理由がある。
それは蛍。ほら、6月初旬とかって蛍の季節じゃない(正確には俵山温泉に泊った日は5月末だが)。
最初は長門湯本温泉で考えていて、そしたら長門湯本温泉ではこの頃、ほたる祭りをするって知って、長門湯本でほたる祭りができるなら、近くの俵山温泉でも蛍が飛んでいそうだし、長門湯本以上に山の中っぽいし。
だからお腹がいっぱいになったらほろ酔い気分で蛍を探しに宿を出た。
町の湯に行った時は夕暮れの日差しを浴びていた通りも、9時を回って誰もいない。
街灯や旅館の看板のオレンジ色の光に照らされて、電信柱の影が伸びているだけだ。
パパはメインストリートに入らず、脇道へ逸れた。
そうだった、蛍は水辺にいるはず。
坂を下って正川の畔に出ると、いかにも蛍が飛んでいそうな木が何本か枝を伸ばしていた。
でも蛍は見つからなかった。
こんなに居そうな場所なのに。
もう少し歩くと、ようやくふわ~っと飛ぶ小さな光を見つけた。
「ほら、これこれ」
「ほんとだ」
でも見つけられたのはようやく1~2匹。
時期が少し早すぎたのかな。