子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ お湯は熱めなので注意
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
西郷隆盛が養生に使ったという栗野岳温泉にある一軒宿が南洲館だ。
お昼ご飯を食べ損ねた私たちがその時いたのはえびの市の西のはずれで、九州自動車道の外側。
そして宿泊予約を入れている湯之谷温泉の湯之谷山荘は、霧島温泉郷の東側にある一軒宿なので、そろそろそちらの方角に車を進めなくてはならない時刻になっていた。
ちょうどここから霧島方面に向かうと、その霧島温泉郷の中でもぽつんと北西に外れたところに建つ一軒宿、栗野岳温泉南洲館を通る。
一応ガイドブック系のサイトを見ると、南洲館で昼食を取ることもできるようなことが書いてある。
もしかしたらご飯が食べられるかもとささやかな期待をしながら南洲館へ向かった。
ループ橋の辺りで雪雲が湧いていた空は、いったんはまた青空に戻り、そして今再び垂れこめたような重い雲に包まれていた。
日が陰るととたんに風が冷たく思えるなぁ。
栗野岳温泉南洲館は山の中だった。
道路から見えた看板には「名所 八幡大地獄」とか「名物 とりの丸蒸し」とか書いてある。温泉の蒸気で鶏を蒸すらしい。
たぶん辺りから白い蒸気が上がっているんだろうけど、あいにくと山のあちこちに低く降りてきた雲が蒸気のごとく掛かっていてどれがそうなのかよく判らない。
駐車場に車を停めてえーと、あれ? 受付はどっちだ? あっ、立札があったと迷いながら母屋の玄関の戸を開けた。
宿の規模と比較して、母屋の入り口はどことなく民家のような雰囲気だった。
帳場は無人だったが声を掛けるとすぐに主が出てきて、日帰り入浴は快く受け付けてくれたが、あいにくと食事は今、準備できないとの事。お風呂はちょうど母屋の向かいにある別棟だった。
浴室棟は「桜湯」という名。
公式サイトを見ると、他に竹の湯、蒸し釜、飲用なのかラムネ湯などがあるようだ。
あまり時間が無かったので桜湯にしか入らなかったが、本当ならいろいろ入ってみたかった。
桜湯は本来ならそこで日帰り入浴を徴収することもあるのか、建物自体が銭湯のような作りをしていた。クローズしているがカウンターらしいところに日帰り入浴料金の表など貼ってある。
いかにも山の温泉らしい木の浴室。
思わず頬がほころぶ。湯治場らしいこういう浴室は大好き。
緑がかった灰色の濁り湯。強いマッチ臭。
ぬるい湯が続き、田島本館の胃腸の湯も既に加水されていた夫にとっては、まさに待ちわびた白濁した熱いお湯。
絶対に壁を隔てた男湯では彼が感極まっている。想像できる。
浴槽の縁はコンクリだが床が簀子で壁も木造。天井の梁も洒落ている。
ちょっと熱いけど、入れないほど熱くは無い。熱めでしゃきっとするちょうど良さ。
全身入ってふーっと息を吐く。いいなぁ、ここ。
お湯は膝下が見えない粉っぽい濁り湯で、底や背中が当る部分がかなりざらざらとげとげしていて痛い。
そのざらざらを触るとほわわ~と粉が舞い上がる感じ。
あまり触るとそのとげとげがぽろりと欠けたりする。
こんなにいい湯なのに、独占していいのかなぁ。鹿児島サイコー。
最初すべすべとし、後からきしきしとする感触があった。
湯上りはさっと乾くさわやかさ。それも含めて、栗野岳温泉南洲館の桜湯は、まさに山の温泉としてイメージする通りの温泉らしい温泉だった。