ここは二階建て。
一階は城壁みたいに不規則な石を組み合わせた風の外壁の四角ばった建物で、中は洗濯湯だ。
洗濯湯と言うのは温泉を使った洗濯場で、野沢ではほとんどの外湯に付属している。外湯じゃなくて独立した洗濯湯棟すらある。
そして浴室は二階で、ちょうどその石の外壁の上に木造の共同浴場らしい建物が乗っかったような作りで、二階に続く外階段の上り場には温泉卵製造槽が備え付けてあった。
自分とほぼ同時に足の悪い年配の人とその連れの二人の入浴客が階段を昇った。地元の人のようだ。
ガラス越しにお風呂の中をちらっと見て、白濁してるなーと思った。
これまでの外湯に無い濁りっぷりだ。真湯は緑に濁っていたけど、松葉の湯はセメントみたいな白っぽい灰色だ。
脱衣所で、地元の二人が白濁してるから今日はそんなに熱くないはずだと会話していた。
確かに掛け湯をしてみると、表面は熱く思えたが、入ってみれば中は適温。ぬるいまではいかないがちょうどいいくらい。
「熱くないでしょ?」と話しかけられる。
聞いてみると、無色透明な時は熱い。
誰かが水を一気に入れると白濁する。だから濁っている時は熱くないとのこと。
今は水は止まっていたが、前の人が加水したのかもしれない。
肌触りするするといい感じ。少し焦げたゆでたまごのにおいがする。
いい湯加減にほよよんと入っていると、温泉卵隊のあやさんとえんぴつさんが入ってきた。
大湯の後は真っ直ぐここに来たようだ。
ちなみにのび太さんによるとこの時男湯は許せないほどぬるかったらしい。
もちろん白濁してましたよと。
まあ1階の洗濯湯も白濁してたんだけどね。
というわけでこの日のまつばの湯は全部白かったと。
そろそろ時刻も6時を回った。
合流した温泉卵隊と一緒に、途中土産物屋など冷やかしながら宿に戻った。たくさんお風呂に入って、すごく喉が渇いていた。