子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★☆☆☆☆ 泉質★★★★☆ あつ湯とぬる湯の二槽に分かれているが、ぬる湯でも熱い
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★★☆ 温泉街の中心に近くて便利
子連れ家族のための温泉ポイント
野沢温泉には13の外湯があり、野沢温泉宿泊者は無料、日帰り観光客も寸志で入浴することができるが、その外湯の中でも中心になる存在と言えばこの大湯。
初めて訪ねたのは2004年の冬。
道を挟んだ向かいには大湯の足湯、おくとがあり、何故か金髪の外人さんがくつろいでいた。温泉で国際交流という感じだ。
共同浴場の中は脱衣所と浴室が繋がった作り。
大湯の名を冠するだけあって浴室は広い。
脱衣棚が浴室内にあるだけでも全体が広く見える。
浴槽や壁の板の部分や床や踏み台の石の部分が古すぎはしないのにほどよく年季が入っていて、ちょうど絵になる風合い。
兄弟のように同じような浴槽が入口側から見ると縦に二つ並んでいて、手前がぬる湯、奥があつ湯と書かれている。
入るなり、小柄で禿髪のはきはきしたご婦人が、「靴はここ、脱いだ服はその上」とびしっと言ってきた。
「ハ、ハイッ」思わず飛び上がって従う。
野沢温泉の外湯は、脱衣棚の下に下足棚がついていることが多い。それも雪道に便利な長靴が入るように縦長。流行のロングブーツを履いていても心配ない。
「自分の靴の上に自分の服。そうしたら靴を間違えたりしないでしょ。そして入浴中もちらちらと服を確認すること!」
な、なるほど。
大湯は熱いので、二槽に別れている。片方に湯口から熱い湯をそそぎ、上の方は仕切ってあり、下だけ繋がっている。そうすれば熱い湯は上にぬるい湯は下に行くから自然と温度差が出来る。
笑っちゃうことに全員ぬるい方に入っていた。
とりあえず自分もぬるい方に入る。これでも十分に熱い。
ぬるい方に入ったまま、熱い方に手だけ入れてみる。
うっ、熱湯。
こりゃ駄目だ。
大湯で終わりならチャレンジしてみるけど、この先いろいろ回ろうと思ったら、とても熱い方には入れない。諦めよう。
さっき入って来たばかりの河原湯と同じでゆで卵に苦みを入れたような味と臭い。
湯の花も大きいが、こちらは白い。
新しく入ってきた入浴客が、早速「靴は下、服が上」の洗礼を受けていた。
びしびしと指導するご婦人は服を着終えると颯爽と出ていった。彼女の纏った服は僧衣だった。
その10年後、2015年に訪ねた時は、あつ湯とぬる湯の両方に数人の入浴客がいた。
ただし、あつ湯にいるのは地元の人ばかり。
観光客は全員ぬる湯の中にいた。
とりあえずいきなり奥に行くのははばかられたので、手前のぬる湯浴槽で掛け湯をする。
ぬる湯浴槽はパイプの湯口の源泉の他に、その隣の蛇口も捻られてそれなりに加水中だ。
熱めだけど適温に近い。熱いのが好きならちょうどいいくらい。ぬる湯好みならもうちょっと冷ましたいかも。
でも入るのが無理と思う人がいるほどには熱くない。
野沢温泉のお湯は熱い熱いと聞くけれど、今日上寺湯からいくつか回って入れないほどの温度は無かった。
もちろんいつもそうというわけではないことは知っている。
少し慣れてきたところで、あつ湯にも入ってみることにした。
・・・うん、熱いけど・・熱いけど・・入れないことは無い。入って30秒で飛び出すほどでも無い。
馴染んで来れば普通に入れる。
が、そこで私のすぐ隣、あつ湯浴槽から上がって一休みしている風の地元の方が話しかけてきた。
「無理して入らなくていいのよ。こっちの熱い方は村民用だから」
いやいや別に追い出そうという感じで言った台詞ではない。がんばらなくていいのよと同情されている感じ。
お湯は下で繋がっていて、あつ湯もぬる湯も入っているのは同じ温泉だから、無理してあつ湯に入らなくていいのよって。
まあ、熱すぎるって文句を言う観光客もいるんだろうなぁ。
そういう意味では草津でも渋でも湯田中大湯でもメインの外湯がそうであるように、二槽に分けるのは合理的だ。
柔らかなゆでたまご臭。白い大きな湯の花あり。
入ったなーっと思えるお湯だ。
湯上りはさっぱりさわやか。
そんなこんなで大湯が熱いったって、あつ湯でも入れたよなんて高をくくっていたが、翌朝しっかり後悔することになる。
再度訪ねた大湯は朝は誰もいなかった。
入浴者が途絶えて少し間があったのか、床もほぼ乾いている・・・ということは・・・
やっぱり熱~い。
どのくらい熱いかというと、昨日はぬる湯と書いてある方が熱め適温で、あつ湯と書いてある方は頑張れば入れるけど地元の人が「我慢しなくていいのよ」と言うレベル。
それが今朝はぬる湯と書いてある方が、昨日のあつ湯なみ。
あつ湯の方は手を入れて入浴を断念した。
本気モードの「村民用」は甘くない。
でも誰も入ってない大湯は、ぬる湯浴槽でもぴっちぴちモード。
鮮度抜群。
ゆでたまご臭に少しばかりの湯の花。
かなり熱いので体をのびのびと伸ばすまではいかず、広めの浴槽の中で段差になった隅に縮こまっている。
聞こえるのはお湯の流れる音だけ。
なんとも贅沢なひととき。
しばらくすると観光客の女性が一人入ってきた。
どうも連れがいたようようで、すぐに男湯から「あちーっ」という悲鳴のような声が聞こえてきた。
※ 他の野沢温泉外湯を調べる→野沢温泉共同浴場マップ