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◆がんばれ新潟 雪国のお正月◆1-14


14.野沢タイガース温泉

 宿の夕食は遅かった。
 7時頃、放送を入れて知らせると言っていたのに、7時半を過ぎても連絡は無かった。
 お腹を空かせた子供たちが限界に来て騒ぎ出した頃、ようやく夕食の用意が調ったと館内放送が入った。
 ご飯と汁物は食堂入り口でセルフでよそうシステムで既に行列している。
 車で来たのは我が家だけだったので空いているかと思ったらとんでもない。冬休みの野沢はスキー合宿が多いのか、大学生などの若者で食堂はぎっしりだった。
 夕食のメニューも運動をする若者向きで、刺身、煮物、天ぷらなどの温泉宿定番料理と違い、揚げ物がメインディッシュだ。
 カナもレナも旅先では小食でほとんど食べない。お腹が空いたと言った割に食事は進まず、パパだけがえらい勢いで料理を口に運んでいた。
 最近は宿に泊まるなら温泉宿。だからこんな夕食は久しぶりだった。
 自分たちも昔はスキーで民宿に泊まって、こんな夕食を食べていたっけな、と夫婦で懐かしく思い出した。


夕食は温泉旅館系とはちょっと違う。体育会合宿系ですね。 今夜のお友達は、雪中梅


 食後、一休みした後は子供たちを連れて宿のお風呂へ。
 野沢温泉は意外に温泉を引いている宿が少ない。ある程度老舗の旅館と、本当に一部の民宿以外は水道水のお風呂しかない。お風呂のない宿すらあるかもしれない。
 温泉に入りたかったら外湯に行けばいいからだ。
 実はこの四季の宿しなざわ、一応温泉を引いている。
 麻釜かどこか、湯量の豊富なところから引いているのかな? と思ったら、神戸虎温泉というものだった。
 神戸虎温泉??
 ・・・聞いたこと無い。
 何だか阪神タイガース臭い温泉名だ。
 野沢にこんなお湯もあるとは知らなかった。
 単純泉で、源泉温度は判らないまでも中性低張性低温泉とあるから加熱して使っているのだろう。
 ちょっと加熱しすぎなのか、浴槽はがんがんに熱してあった。
 まあ、野沢の人たちは熱い湯好きだというから。
 お風呂は小さい。二人も入ればいっぱいだ。
 先客の若い女性が二人、熱い熱いと言いながら入っていた。
 ちょっと子供たちにはきつそうだったので、少し水でうめた。
 きしつく肌触りがあるが、臭いはしない。ゆで卵の臭いがしないから野沢温泉らしくない。でもなかなか温まって悪くはない感じ。
 湯口の所には塩の結晶のようなカルシウム分が固まっていた。

 その間、パパは一人で外湯へ向かっていた。
 さっき中尾の湯には入ったから、それ以外の所へ行ってみるのだそうだ。
 中尾の次に近いのは新田の湯だが、湯の宮源泉を麻釜源泉にミックスさせて使っている十王堂の湯へ行ったらしい。
 帰ってきたら大雪だったと閉口した口調で言った。
 いつの間にか雪が降り出したらしい。
 私が外湯巡りをしていた間はたまに日が射したりしていたが、今夜は吹雪くようだ。
 明日の朝には何もかも真っ白かもしれない。


すいません、神戸虎温泉なんて聞いたことありませんでした 湯口の上の方が析出物で白くなっている




2-1.朝風呂は中尾の湯へ続く


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