15.黒川温泉の入浴手形
筋湯温泉からはまた県道40号線を南下して国道442号線に出るのだが、ちょうどこの辺りは大分県と熊本県の境になる。
温泉地を表示する道路わきの看板も、熊本に入った途端、距離は近くても大分の温泉地は載らなくなってる。ちょい露骨。
天気は相変わらずあんまり良くない。
重苦しい曇天で、いつ降り出してもおかしくない感じ。
もうここまで来ると黒川温泉はすぐだった。
国道を曲がって、湯峡の響き優彩という黒川温泉でイメージしていたより大型の旅館が見え、それから温泉地の中心に入っていく。
泊る
山みず木は温泉街から少し離れた所に位置していることと、チェックイン前に入浴手形を使って2~3軒立ち寄り入浴しようと考えていたことから、まず向かった先は黒川温泉の観光案内所的な施設、風の舎という旅館組合事務所だった。
土産物などを置いている建物を突き抜けると石畳の小さな広場があり、正面にべっちん館という休憩所を兼ねたような建物と、左側に黒川温泉自治会の建物がある。どれも渋墨塗の洒落た和風の建物で、この自治会のカウンターで観光案内を請け負っていた。
担当の女性はとてもフレンドリーで、お客様のご要望にお応えするのが私の生きがいですと言わんばかりにかゆいところに手の届く情報を教えてくれる。
そこで「入浴手形を使って露天風呂を回ろうと思っているんですが、で、ズバリどこがお勧めですか?」と思わず無茶な質問をしてみたりする。
すると担当女性の口からはあれやこれやと複数の旅館の名前が流れ出て、三つに決めるどころかこちらは迷うばかり。しかしひとつひとつどこが良いかも説明してくれたのは非常に参考になった。
またここでは細かい日帰り入浴情報も手に入る。例えばこの日は夢竜胆が午後2時、旅館奥の湯とふじ屋が午後3時半にならないと立ち寄りを受け付けないとか・・。
とりあえずこの時名前が挙がったのは、
いこい旅館、御客屋、
新明館、
黒川荘、旅館山河、山みず木から近いところでお宿野の花、里の湯和らく、旅館ではないが食事処も併設する
日帰り温泉の耕きちなどだった。
また、ちょうど食事をする店も探していたが、こちらも今日開いているかいないか、何時から何時までの営業かなども教えてくれた。
「実はですねぇ、黒川温泉では今、手形でまちめぐりというものを行っておりまして、入浴手形を提示するとお食事やお買いものの割引やお飲み物やデザートのサービスを受けることができるんですよ」
「・・ということは、食事に行く前に手形を買った方がお得・・?」
「そう、その通りです!」