子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ お湯はほぼ適温
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★☆
子連れ家族のための温泉ポイント
黒川荘は黒川温泉の中心部からちょっと離れているし、日帰りで旅館の駐車場は使えない。
そうすると、近くにある第3駐車場、第4駐車場、第5駐車場いずれかの公共駐車場に車を停めて歩くことになる。
この時はね、まさかあんなことになるとは思わなかったから・・・。
簡易な地図で見た感じでは第3駐車場も第4駐車場もも黒川荘からの距離は変わらないように思えたが、第3駐車場が通り沿いだったのでそこに停めた。
今いる場所は車の通りのさくら通りで、西を向くと左手に田の原川が流れていて川に沿って流れに削られた低地が見える。
木立の合間からちらちら見えるその低いところに一軒だけ大きな旅館が建っていて、それが目的の黒川荘のようだ。
目の前に「よしご道」と表示のある遊歩道の入り口があって、さくら通りから細い石段で下に降りて行かれるようになっている。
雨上がりなのでぬれて滑るので注意。黒川荘に行くにはここを下りていく。
近づいてみると黒川荘の建物は旅館らしい建物と一般民家みたいな建物が増改築を繰り返し、ごちゃごちゃと複雑に合体したような形に見えた。
手前に「ご案内」という看板があり、「露天風呂巡りをご利用いただくお客様へ 時間帯によっては大変混み合う事がございます。又、状況により待ち時間を頂く事がございますので、お客様には大変ご迷惑をお掛け致します。何卒、ご了承下さいませ」とビビるようなことが書かれている。
さらにその看板の下に別の小さな看板があり、そこには「混み合いの為、露天風呂巡りは只今■待ち」とも書かれている。この■の欄は、多分適宜数字を書くか貼るかするのだろうが、今は空欄になっていた。
常に混雑して、日帰り客は待たされるのがデフォルトなのだろうか。
確か読んだガイドブックにも、多くの観光客は入浴手形の1枚をこの黒川荘で使うことが多いと書かれていた。宿の駐車場が使えないから、場所はかなり不便なのにも関わらず。
しかし黒川荘の入り口は拍子抜けだった。
何だか裏口のような妙に寂れた雰囲気の場所で、そこから館内に入っても、やはりバックヤードのような雰囲気の廊下が伸びていて、あれれと思う。
受付を探して壁に貼られた矢印の方角に進んでいくと、弧を描いてロビーに降りる階段の前に出て、それでようやく判った。
私たちが入ってきた入り口は、やっぱり裏口だったのだ。
豪華というほどではないが立派なロビーにはやはり立派な正面玄関があって、おそらく宿泊客は黒川荘専用の駐車場に車を停めて、この玄関から入ってくるのだ。
しかし日帰り入浴客は山側の公共駐車場に車を停めて(中には温泉街から遊歩道を歩いて来るお客さんもいると思うが)、そのまま建物に近づくと、裏口から入って最初がっかり気分を味わうことになるのが残念だ。
宿泊客と日帰り客の玄関を分けている旅館は他にもたくさんあるが、黒川温泉は入浴手形で有名になった部分も大きいし、日帰り客が気に入って次は宿泊してみようと考えるとしたら、もう少しあの出入り口に気を使った方がいいかもしれない。もしくは正面入り口に直接誘導するとか。
第一印象と言うのは後々まで響くから。
ともあれ、受付で入浴手形を提示し、浴室へ移動する動線上は雰囲気もよく、本当に混んでいたらどうしようと思った浴室も、ちょうど無人で独り占めできたことは何よりの幸運だった。
浴室はまず広さに驚いた。
入ると左手の窓側に小さめの水風呂があり、窓の方を向いた洗い場がいくつか並んでいるが、右手が大きな浴槽。
周りを岩で囲った岩風呂風だが、縁の岩はごつごつしておらず入りやすそう。
何となく薄い濁り湯にも見えるが、天気があまり良くなく、窓からの光が足りないこともあり浴室は薄暗い。あまりよくお湯の色は見えなかった。
浴室の一番端に露天風呂に出るドアがついていた。
そして外に出てみて本当にびっくり。
お湯の色が青い。
ガイドブックの写真で見た時は渋めの緑色に見えたので、てっきり緑の温泉なのだと思っていた。
それが本当に青い。栃木や福島辺りの山の方にある青白く白濁した硫黄泉ともまた違った感じの青さ。南の海を髣髴とさせるような。
露天風呂は2つあった。
浴室からの出口を出て正面の小さめの露天風呂は四角く、川を挟んで真正面に切り立つ岩の壁がせり上がっている。
凄い迫力だ。
そして浴室から見ると水風呂や洗い場のあった窓の外にあたる場所には、それこそ池と見まがうとんでもなく大きな庭園露天風呂があった。
誰も入浴客がいないのが非現実感を増している。
これって本当にお風呂? 池じゃなくて? と不安になるほど。
四角い小さい方は青い白濁湯だったが、巨大な庭園露天風呂の方は白っぽさが無く、本当に青い。
天気が悪いから鮮やかさには欠けるが、それでも驚いた色彩。
九州ではぜひ青いお湯に入りたかったので大満足。特に黒川荘のお湯に青いという先入観が無かったことで、より楽しめた。感動した。
少し雨が降ってきた。露天風呂の表面に落ちた雨の波紋がいくつか広がっている。
火薬のにおいと軽いきしつき。
いこい旅館のお湯に比べると、するすると肌を滑る感じは薄い。
広い露天風呂のどこに身を落ち着けて良いのかわからず、あちらに移動してみたり、こちらに移動してみたり。
そうしているうちに、だんだんと雨が激しくなってきた。
雨を避けるために慌てて枝葉の張り出している下へ。
とたんにゴロゴロと雷鳴が聞こえてきた。
嫌な予感。
背筋がゾクゾクしてきた。
夏の雷はなぁ・・既に雨も降っているけれども・・。
名残惜しいと思いながらも上がって脱衣所に戻ると、またまたビックリ。さっきまで誰もいなかった脱衣所は、なんと脱衣籠が足りないほど、足の踏み場も無いほどお客さんでごった返していた。
多分顔立ちと言葉の雰囲気から、韓国人の団体客。今到着して、これから全員で入浴するところらしい。
看板の、日帰りはお待ちいただくほど混み合うことがございますって大袈裟じゃなかったのね。
いやはや同時にならなくて良かった。
ゆっくり独り占めできて良かった。
実は後から知ったが、黒川荘は私の実家の両親と、それから妹一家も泊まったことがあった。
両親はその時黒川荘に一泊、隣のやまびこ旅館に二泊したが、やまびこ旅館の方はあまり好みの宿では無かったようで、黒川荘の方にもっと泊まりたかったと言っていた。
妹の方は親から勧められて泊まったようだ。
そしてこの後私たちは土砂降りの雨の中、離れた駐車場まで戻ることになる。
前も見えないほどの激しい豪雨。
こんな時、宿の駐車場が使えない日帰り客であることを後悔するのだ。