子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ 適温の浴槽もあるが、一部熱い浴槽もあるので注意
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★☆ 深いお風呂もあるので気を付けて、有料で貸切風呂あり
子連れ家族のための温泉ポイント
黒川温泉の観光案内所である風の舎で、立ち寄りにお勧めの宿を聞くとあれもこれもと次々あげられて、逆にどこを選んでいいのかわからなくなった。
その中でいこい旅館を選んだのは、まずは中心地から行きやすい距離ということと、さらに日本名湯百選に選ばれたお湯だというからハズレということは無いと考えたからだ。
特に女性にお勧めの美肌の湯なんですよなんて言われたのが効いているのかもしれない。
昼食を取ったカレーショップわろく屋の斜め前の橋を渡ると、川沿いにふじ屋、御客屋、いこい旅館、旅館わかばと4軒ほど温泉宿が並ぶ。
いこい旅館はすぐに判った。
横道の坂を少し下ったところにある。
風の舎で「ここが絵になるので人気があるんですよ。黒川温泉のポスターにもよく使われますし、みなさんここで写真を撮られます」と教えてもらった囲炉裏のある休憩スペースが向かいにあり、湯上りらしいカップルが涼んでいた。
暖簾は紺。入口周りには干した玉蜀黍が下げてあり、民芸品が飾られている。
ちょっと坂を下っただけでプライベート感のあるお籠り宿が演出される。ほどよく高級感もあり、女性が好みそうな旅館だ。
館内は少し薄暗く感じる。
決して怖い雰囲気とか古そうというのではなく、穏やかな間接照明でリラックスできる雰囲気を作っているような感じだ。
15室というそれほど大きくは無い規模の旅館だが、お風呂はとても沢山あるようだ。
滝の湯、うたせ湯、箱湯、美人湯、立ち湯、家族風呂、扇の湯、月灯の湯、桶風呂、檜風呂、蘇の湯、風坊の湯と全部で12。プラスして足湯もある。
このうち立ち湯までの5つが立ち寄りで利用可能。美人湯と立ち湯が女湯で、残る滝の湯、うたせ湯、箱湯は男湯だった。
ちなみにいこいの湯の公式サイトには滝の湯、うたせ湯、箱湯は混浴と記載されているが、脱衣所が男女別ではなく、しかもタオル巻きも禁じられているので、実際に女性が入浴するのは勇気がいるのだろう。特に日帰りでは。
美人湯と立ち湯は離れているのだろうかと思ったが、脱衣所は共通だった。
あまり広い脱衣所ではなく、脱衣籠の前に立って、すぐ後ろが立ち湯だ。
きっと混んでいるだろうと思ったいこい旅館だが、脱衣所の他の籠は空っぽで、もしかしたらタイミングが良かったのかもしれないと思った。
脱衣所からお風呂は石段を下りる。
ここ、建物の中のような外のような不思議な空間。左手にはさっき脱衣所から見えた立ち湯があるが、そのまま進むと道は二手に分かれ、右は貸切の別のお風呂に通じているらしい。
そのまま下ると美人湯だ。
美人湯も屋内のような屋外のような囲われているけれど雨が降ったら木々の間から少し雫が落ちてきそうな場所にある。
思ったより大きな岩風呂で、まず目につくのは白いセロファンを被せたようなうっすらとした濁り湯の色。
わぁ、と思い掛け湯をして足を入れる。
隅にある湯口は、80度以上あって熱いので注意と書かれているが、浴槽全体はほぼ適温に保たれている。ホント、ちょうどいい。
肌触りは面白い。ぬれていると滑るのに出るときしつく。この差が顕著。
思わず何度も何度も滑らせてしまう。肌触りに特徴のあるお湯は大好きだ。
においは火薬のような感じ。
これはこの後いくつか入る黒川温泉の他のお湯にも多かった。
立ち湯の方にも入ってみる。
脱衣所から見下ろした時はあの天井からつるして湯船に浮いている二本の竹の棒はなんなんだろうと思っていたが、いざ入ってみてようやく判った。
この立ち湯、とっても深いのだ。
155センチ程度の私の身長だと、顎を持ち上げないと溺れそう。
だからこの二本の平行棒のような竹につかまるというか、それを浮き具のように脇の下に挟んで入浴できるようになっているのだ。
立ち湯もやはり湯口は熱いので近づかないよう注意書きがある。
でも湯船の中は至極適温。
ただ、竹につかまっているのは不安定で、プールに入っているような落ち着かなさがあった。
落ち着かなかったので最後はまた石段を下りて美人湯に入りに行った。
何だか水の音がするからどこからだろうと、衝立というか壁の窓からのぞいてみると、ちょうどお風呂があるのは川沿いで、お風呂のすぐ横に滝があった。滝はあるけど目隠しや木々が邪魔でほとんど見えない。
このお風呂から滝も鑑賞できたらもっといいのになという感想。
脱衣所に戻るとちょうど次のお客さんがぬいでいるところだった。
話をしてみると、やっぱり美人の湯とか、日本名湯百選などのうたい文句に惹かれて、入浴手形の一つを使うことにしたらしい。思わず同じだねーと笑いあう。