子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ 適温の浴槽と気持ち熱めの浴槽がある。
- 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★☆ コインロッカーの横のベンチがベビーベッド代わりに使えるかも
子連れ家族のための温泉ポイント
湯小屋の戸を開けて感嘆の声を上げる。
これはまた素晴らしく良い浴室だ。
先客はいないし、これ、独り占めしちゃっていいのかな。思わず笑みがこぼれるよ。
耕きちの湯は黒川温泉観光案内所である風の舎の担当の女性が「実は一押し、食事も取れますよ」とたいそうプッシュしていた日帰り温泉だ。
黒川温泉と言えば露天風呂巡りの入浴手形で、入浴手形と言えば旅館のお風呂のイメージが強く、つまり事前にチェックしていたのは旅館ばかりだったので、日帰り専門である耕きちの湯はノーマークだった。
リーフレットの写真を見ると思いのほか雰囲気が良さそうだし行ってみますか。
耕きちは泊っている山みず木から車で数分。ということは、黒川温泉の中心地からはさらに離れているということだ。
この距離感が穴場っぽさを出しているのかもしれない。
着いたところは絵のように素朴な野の花が木の柵の前に咲く古民家を移築した建物だった。
夫はこういう佇まいが好きなので、お昼もここで食べれば良かったと言った。そのくらい気に入っていた。
お風呂はその建物ではなく、庭の奥の湯小屋。
受付は母屋の正面、湯小屋の斜め前に建つやはり雰囲気の良い木造の建物で、そこでリーフレットのスタンプを見せて入浴料を払った。
中は広いのに脱衣所と浴室が一体になっているところが外湯っぽい。
長方形の浴室は、木造の四角い浴槽や板張りの床、木組みの天井などきっちりと和風でありながら、正面の窓の形や隅に置いてあるチェアーが洋館風で、全体として大正浪漫の雰囲気を醸し出している。
お湯は明るい灰色の濃い濁り湯。火薬のにおいもとても強い。
四角い浴槽は二つ並んでいて、入り口に近い方が少しぬるく、窓際が熱め、といっても熱すぎはしない。熱めでさっぱりぐらいの感覚。
そして手前の浴槽は中央に丸太を渡してあり、ここに頭を乗せてリラックスしてくださいと言わんばかり。
共同浴場にありそうな木の湯口の樋にはクリーム色の硫黄成分が沈殿している。
肌触りもよく、何から何までいかにもという温泉。
勿体なくもざばざばと掛け流されていくお湯に入っているだけで贅沢な気分になる。
湯船に浸かって窓から見える緑も鮮やかで幸せ。
いい風が入ってきた。