9.夕暮れの虹
帰り道、今頃になって行く手の空が明るくなってきた。
上信越自動車道の道沿いには、紅葉また紅葉。
今年の紅葉は天候に恵まれず、もうひとつ色がすぐれなかったと聞く。
だけど、鮮やかさには欠けるものの黄と緑と橙のグラデーションに塗られた里山は、今は夕日を浴びて黄金色。
「そういえば結局、何湯入ったの?」とパパに聞かれて、
うーんと、
安代で三つ、渋で九つ、
湯田中と
穂波と
角間と
YOU遊ランドで16かな、と答えたら思いっきり呆れられた。
「あとね・・・
安代大湯と
渋大湯は二回入ったから、お風呂に入った回数はこの三日間で18回だ」
「・・・ばかじゃない」
えーん。
名残を惜しんで振り返ると、山にうっすらと虹が架かっていた。
晩秋の北信濃。
湯けぶりの上がる石畳の湯街で過ごした三日間。
さよなら。