子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★★ 源泉はかなり熱いがお風呂は適温のことも、泉質は特に問題無し
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★☆☆ 渋・安代温泉の石畳の通り沿いにある古い木造建築
子連れ家族のための温泉ポイント
浴衣に下駄の似合う温泉街と言えば、東日本では真っ先に渋温泉が思い浮かぶ。
だが、横湯川の下流側から渋温泉街に入ると、最初に見えているのは渋温泉ではなく実は安代温泉の温泉街になる。
渋く風格のある木造建築が立ち並ぶ中に、共同浴場が点在している。安代温泉を散策しながら石畳を行くと、小さな川を境目に、いつの間にか渋温泉に迷い込んでいる。
さて安代館は安代温泉の中でも入り口に近い方にある。
ここもまた明治時代に造られた築100年以上の木造で、見上げるとずっしりと重量感がある。
内部も、当時としてはモダンだったと思われる廊下の朱塗りの太鼓橋や、傘天井のお手洗いなど遊び心が感じられる。
ただ、時間の流れとともにそれらは痛みかけていて、今はもう昔の状態をそのまま保つのは少し難しいのかなという宿だった。
お風呂は2ヶ所にあり、それぞれ竜宮風呂と古代風呂と名付けられている。
通常は竜宮風呂は男湯、古代風呂は女湯に設定されているが、宿泊すれば夜間は交代となり、両方に入ることができるようになっている。
竜宮風呂(右上の画像)はタイル貼りで独特の曲線を描く浴槽だ。このタイルと曲線は安代温泉の外湯(共同浴場)にも通ずるデザインで、なんとなく渋温泉とは一線を画しているような気がする。
古代風呂(下の二枚の画像)は、やはり竜宮風呂と意匠の似たタイルの浴槽と、もうひとつ木の浴槽がある。
大きさはタイルの方で3人ぐらい、木の方で1人サイズだ。
木の浴槽は掛け流しに見えるのだが、縁からお湯が溢れない。
どういう仕組みなのだろうと思えば、浴槽の下の方の壁に穴があり、そこから外に管が出て、管の高さが浴槽の縁よりちょっと低くなっている。
お湯は無色透明、薄い昆布出汁臭があり、ぬれた状態で腕をこすると少しすべすべ感が感じられる。
このときはかなりぬるくなっていたが、本来熱い湯のはずだ。
源泉は安代大湯、安代開花湯と共通で、湯田中から引いている。なるほど湯田中大湯と少し共通する印象のお湯で、逆にすぐ隣の渋温泉とは似ても似つかない。
我が家では誠に珍しく、2連泊させてもらったが、宿の方々の応対も心がこもっており、食事も食べる人のことを考えて作って下さったような料理だった。
安代館はとても気に入ったので、またきっと泊まりに行くと思っている。
もしこれから泊まることを検討されるなら、オプションでりんご牛ステーキを頼むことをお勧めする。りんごを食べて育ったこの牛は、安代・渋温泉内でしか流通しておらず、しかもここで食べるとリーズナブルだ。
なお、こちらのお宿は近隣の角間温泉に旧横山大観別荘である嶽心荘という茅葺きの別館をお持ちだ(当時)。
4月中旬から10月末までの間は、この風情ある建物で山菜料理のコースを頂くことができる。私たちが泊まった11月には既に夕食プランはやっていなかったが、無理を言って案内してもらった(嶽心荘をご覧になりたい方は旅行記の方へ →横山大観の別荘 嶽心荘)。
きっと次は蛍が乱舞するような季節に、ここでゆっくり夕食を食べてみたい。