角間温泉 角間大湯

角間温泉の共同浴場(外湯)  角間温泉宿泊者は鍵を借りて入れます 

  • 所在地 〒381-0401長野県下高井郡山ノ内町角間温泉
  • 泉質 ナトリウム・塩化物硫酸温泉(含砒素石膏食塩泉)
  • 設備等 男女別内湯
  • 入浴料 角間温泉宿泊者は無料
  • ※基本的には地元の人と角間温泉の宿に宿泊したお客さん対象の共同浴場。宿泊者は宿泊先の旅館で鍵を借りて入浴するシステム。宿泊者以外の人は、大湯前の有料駐車場に車を入れて向かいの売店で「ぜひ角間温泉の外湯に入浴したい」とお願いしてみよう⇒2021年11月時点で宿泊者専用となっているようです(長野大学温泉温泉同好会さん情報
お得情報渋・湯田中温泉湯郷めぐりに便利な渋・湯田中温泉郷共同浴場マップも併せてご利用下さい。他の渋・湯田中温泉郷共同浴場情報を調べる目次としても利用できます。

[2004年11月のデータ 日帰り入浴者の鍵利用については2021年11月追記]

子連れ家族のための温泉ポイント温泉ランキング

  • 温度★☆☆☆☆ 泉質★★★★★   湯温はとにかく激熱 泉質はアトピーに効果有り
  • 設備★☆☆☆☆ 雰囲気★★★★☆  赤ちゃん向けの設備などは特にない、脱衣スペースが狭いので乳幼児連れは辛い

角間温泉 角間大湯 体験レポート

角間温泉の温泉街と大湯

 湯田中渋温泉郷のまさしく外れ、角間川の対岸の山あいにひっそりと湯煙を上げている角間温泉にはいくつかの貌がある。
 室町時代、浄土真宗の高僧 蓮如上人により発見された歴史を持ち、鄙びた湯治場としての歴史を歩んできた。

 その一方で多くの文化人とのゆかりも深い。
 横山大観、佐久間象山、吉川英治、林芙美子、武田泰淳、壺井栄、若杉慧・・・小さな温泉地とは思えぬほど滞在した著名人は数多い。
 しかし、おそらくはそれらは角間温泉が文化の香り高い温泉地であるよう努力した地元の見えざる努力があったはずだ。

 日本画の大家、横山大観がこの地に別荘を持つ所以となったのは、佐野の興隆寺(角間温泉から西へ直線距離にして1キロ強)の住職が中心となり、世話人たちと共有財産を処分して、当時としても古風な邸宅を建築、横山大観に寄贈したためである。
 目的は、と言えば、角間温泉の発展のためだったとされる。
 そのとき建てられた茅葺き屋根の嶽心荘は、今は安代温泉安代館の所有となっている(当時)。
(嶽心荘については、旅行記参照のこと)

角間大湯

 そんな角間温泉は、今また新たな脚光を浴びている。
 アトピー性皮膚炎に効果があるとテレビで紹介されて以来、療養のために訪れる人が後を絶たないのだそうだ。

 旅館六軒という渋や湯田中に比べれば遙かに小さな温泉地だが、共同浴場は三つある。
 それぞれ角間大湯、滝の湯、新田の湯と呼ばれ、大湯が温泉街の中心地に近い。
 大湯の周辺は、越後屋、ようだや、いづみやといった古めかしい木造の宿が建ち並び、そこだけ違う時代の写真から切り取って貼ったような感じだ。

 角間大湯の戸を開けると、もわっと熱気のような湯気が顔にあたった。
 それもそのはず、ここも湯田中大湯と同じように、脱衣所と浴室が一体になった作りだった。
 それも驚くほど脱衣所が狭い。というか、脱衣スペースとでも呼ぼうか、人一人でいっぱいになってしまうサイズだ。

角間温泉大湯の浴室

 お湯は熱い。本当に熱い。
 何しろ服を脱いで浴槽のそばに寄っただけで、足の裏が火傷しそうだ。
 しかもそれがざばざばと掛け流されてくる。
 近隣エリアの外湯の中でも、掛け流し量が一番多かったのはここかもしれない。

 脱衣スペースは狭いが、お風呂はその割に大きい。
 浴槽がかなりの部分を占めていて、余った角っこのスペースに脱衣所を設けたという感じだ。
 浴室の窓際にロープが張られ、脱衣スペースで使う足ふきマットやタオルを干してある。その様子が妙に所帯じみて、営利目的の温泉では考えられないなあと苦笑した。

 無色透明、すっきりと綺麗なお湯だ。
 ちょっとお湯が澱んでいるあたりには、赤錆色の大きな湯の花がうようよしている。どうしてここにだけと思ったら、底の栓から伸びている紐に、生き物のようにぎっしりとからみついているからだった。
 きしきし感とすべすべ感という相反する肌触りが両方感じられる。
 薄い昆布臭と硫黄臭。オイルのぬるぬるする感じはここではまったくみられない。

角間温泉のお湯汲み場

 湯上がりはさらさらだった。
 しとしとと重苦しい雨が降る中、腰の曲がったおばあちゃんが歪んだ折り畳み傘を差して坂道を登っていくのが見えた。長靴を履いて手には青いバケツ。
 何をするのだろうと思ったら坂の途中に源泉小屋のようなものがあり、お湯汲み場があった。
 湯気の上がる一角には、組合員以外の方は売店で許可をもらってから汲んで下さいといった内容の立て看板。
 おばあちゃんはバケツ一杯に源泉を汲んで、またえっちらおっちらと坂を下っていった。
 洗い物などに使うのか。ここでの温泉は生活に根付いている。