流石に大湯の名を冠するだけあって浴室は広い。
脱衣棚が浴室内にあるだけでも全体が広く見える。
浴槽や壁の板の部分や床や踏み台の石の部分が古すぎはしないのにほどよく年季が入っていて、ちょうど絵になる風合い。
兄弟のように同じような浴槽が入口側から見ると縦に二つ並んでいて、手前がぬる湯、奥があつ湯と書かれている。
どちらにも数人の入浴客がいた。
とりあえずいきなり奥に行くのははばかられたので、手前のぬる湯浴槽で掛け湯をする。
ぬる湯浴槽はパイプの湯口の源泉の他に、その隣の蛇口も捻られてそれなりに加水中だ。
熱めだけど適温に近い。熱いのが好きならちょうどいいくらい。ぬる湯好みならもうちょっと冷ましたいかも。
でも入るのが無理と思う人がいるほどには熱くない。
野沢温泉のお湯は熱い熱いと聞くけれど、今日上寺湯から回って入れないほどの温度は無かった。もちろんいつもそうというわけではないことは知っている。
少し慣れてきたところで、あつ湯にも入ってみることにした。
・・・うん、熱いけど・・熱いけど・・入れないことは無い。入って30秒で飛び出すほどでも無い。
馴染んで来れば普通に入れる。
が、そこで私のすぐ隣、あつ湯浴槽から上がって一休みしている風の地元の方が話しかけてきた。
「無理して入らなくていいのよ。こっちの熱い方は村民用だから」
いやいや別に追い出そうという感じで言った台詞ではない。がんばらなくていいのよと同情されている感じ。
お湯は下で繋がっていて、あつ湯もぬる湯も入っているのは同じ温泉だから、無理してあつ湯に入らなくていいのよって。
まあ、熱すぎるって文句を言う観光客もいるんだろうなぁ。
そういう意味では草津でも渋でもメインの外湯がそうであるように、二槽に分けるのは合理的だ。
柔らかなゆでたまご臭。白い大きな湯の花あり。
入ったなーっと思えるお湯だ。
湯上りはさっぱりさわやか。
上がったらちょうど温泉卵隊が追い付いてきた。
我々はこれからまつばの湯に向かうよん。