12.これも縁かと上寺湯
真湯を出て橋を渡らず、はとぐるまかわばたの横を入れば、また点線の道を通って真っ直ぐ
熊の手洗湯に近道できるはずだった。
しかしどうも途中で道を間違えたらしい。
気が付くと熊の手洗湯ではなく、
上寺湯の前に立っていた。
上寺湯と熊の手洗湯は近いので、当初の予定通り熊の手洗い湯に行っても良かったのだが、どうも上寺湯が呼んでいるような気がする。道を間違えたのも何かの縁。ここは予定を変更して先に上寺湯に入っていこう。
上寺湯の建物は木造だが新しくてシンプルな感じだ。
隣にお湯汲み場があり、温泉卵は自由に作って良いが、汲み上げは組員と湯仲間以外禁止と立て札がある。
ほの白くごくごく薄い濁りがある他はほとんど透明のお湯で、ぬるくさっぱりとしていた。
他に比べると大人しめのお湯だった。
ゆで卵の臭いがして、湯の花は白いものが少し。
一番特徴的なのは湯口で、白い塩のようなカルシウム分と、さらに緑色の苔みたいな析出物がぼこぼこと固まっていた。
とにかく冬場の野沢はスキー客が多く、どこの
共同浴場も満杯だ。