子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質★★★★☆ 野沢の外湯の中ではぬるい方
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
雪の中、その日最後に来たのが熊の手洗湯だった。
巨熊の手を洗っているところから発見された縁起を持つ湯で、外湯で一番ぬるいところとして知られる。
真湯が霊泉なのに対し、こちらは看板板に名湯と書かれている。以前は熱い湯だったが1847年の善光寺地震で湯温が下がり、今は熊の手洗湯源泉の他、麻釜からも引いている。
つまりここに来ればいっぺんに二種類の源泉が楽しめるのだ。
40度程度の熊の手洗湯と43度程度の麻釜の湯と。交互に入ることもできる。
建物は木造でかなり古い。
既にとっぷりと温泉街の日は暮れ、ぼうっとオレンジ色の灯りが路上を照らしている。
挨拶をして中に入ると、もう大混雑。先ほど上寺湯でほぼ入れ違いに入ってきた高校生ぐらいの体育会系グループも、続いて乱入してきた。
流石にぬるい湯だけあって、赤ちゃんを連れたお母さんもいた。なんとお座りもおぼつかないベビーを床に座らせて、お母さんはその背中を足で支えながら、自らも座り込んで体を洗っている。技あり一本。
しかし、赤ちゃんは目の前に面白そうな玩具を見つけたと思ったのか、やおら支えているのとは逆のお母さんの足先にじゃれついた。
当然お母さんはくすぐったいから動いてしまう。背中の支えが外れておっとと。
もう暗くなってきているので色はよく判らないが、熊の手洗湯は透明で優しい肌触りの湯だった。
他の湯と同様ゆで卵の臭いが顕著で、湯の花は少しだけ。
隣の浴槽は麻釜の湯で、先ほど入った上寺湯と同様、円釜から引いているが、小さな浴槽になんと毎分270リットルがそそがれているそうだ。この量は、同じ麻釜から引いている外湯、松葉の湯や秋葉の湯に比べて15倍の量だ。
だから壁側の側溝にざんざんと掛け流されていく。豪快だ。
本当はもうちょっとのんびりと入りたいところだが、時間が経てば立つほど混んでくる。人数を数えたら狭い浴室に14人も入っていた。
冬の野沢と言えばスキー。
これは野沢温泉外湯巡りの続きをやるとしたら他の季節を狙うしかない。
仕方なく退散することにした。
私とほぼ同時に入ってきた体育会系グループは、引率者の先生の号令一過、次は真湯の方角に消えていった。
2021年に建て替え後の熊の手荒湯を取材撮影してきたのでここから画像で紹介する。
※ 他の野沢温泉外湯を調べる→野沢温泉共同浴場マップ