私たちは真っ直ぐキャンプ場に帰らずに、途中の分かれ道で
七味温泉方面に車を進めた。
後でどうせ子どもたちを連れて旅館宿泊チームが七味温泉に来るわけだが、下見も兼ねて。それにもしトレーラーを停められそうな場所があったらがっちゃんも七味温泉でP泊できるかもしれない。
まだこの時点ではパパとyuko_nekoさんのどちらが旅館宿泊チームになるか決まってはいない。
山田温泉、
松川渓谷温泉、
五色温泉と山を登ってきた道は、七味温泉方面に曲がってからは谷に向かってどんどん下っている。
やがて建物が見えてきた。
七味温泉は行き止まりだ。
正確にはここから万座峠を越えて
万座温泉に至る林道があるのだが、これは恐らく未舗装の悪路で、季節に関わらず今は一般車両通行止めだ。
道は右へ曲がっている。
直進する方角に土の色をした道が見えているがあれが万座峠に向かう未舗装路だろう。
右へ曲がって橋を渡る。
随分と細い橋だ。
橋を渡って直ぐに右手に
紅葉館が見えた。如何にも山の中の宿といった風情だ。適当に古びている。あまり高級感は無い。
さらに進むと左手に少し大きな旅館が見えた。七味温泉で一番収容人数が多くお値段も高い渓山亭だ。そして道の突き当たりに山王荘が建っていた。
今、七味温泉で宿泊を受け付けているのはこの三軒だけだ。
以前は七味温泉には四軒の宿があった。
でもそのうち一軒、湯元牧泉館は旅館営業をやめて日帰りのみを受け付けているはずだ。
橋の近くに牧泉館の看板があった。
七本の源泉の湯元と書かれている。紅葉館からあまり離れていなければ、チェックイン後に歩いて入りに行かれるかもしれない。
パパたちも牧泉館に興味が湧いたようだ。
看板の示す道を川に沿って降りてみた。
ほんの数百メートルほど進むと、草ぼうぼうだが駐車場のようなスペースがあった。
「ここならトレーラーを持ってこれるんじゃない?」なんてパパが言う。
駐車場のような場所を過ぎると橋が一本架かっていて、川の対岸に赤い屋根の旅館のような建物が建っていた。