◇◆長野と群馬◆◇
濁り湯露天風呂の旅
山田牧場キャンプ場に戻る途中、牧場の手前にあった湧き水の水を味見する。
道路脇までパイプで引かれていて、「明治の頃より昭和33年頃まで、牧場の管理者が飲用した水です。山田牧場組合」と書かれた札が立っている。
目がしゃきっと覚めるほどには冷たくないが、ちょっととんがっていてのどの奥に染み渡るような美味しい水。
「どこかに煙草、売っていないかなぁ」
ニコチン中毒のパパが嘆いた。
こんな山の中にコンビニやおばあちゃんの番するたばこ屋は無いよ。
「ホテルならロビーに自販機があるけどキャンプ場じゃなー」
それを聞いてみんなはその辺の旅館のロビーに煙草の自販機か何かあるんじゃないかと言い出した。宿泊客じゃないと入りにくいけどそのあたりは適当に何とかするとしてさ。
ちょうど目の前にスイスのロッジ風三角屋根の奥山田温泉セルバンが建っている。あそこで買ってくれば?
「お願い、煙草買ってきて」と私に頼むパパ。
「嫌」とはっきり断る私。他のものならともかく、何で吸わない私が煙草買って来なきゃならないの。
「しょうがないなー」パパは車を降りて一人でセルバンの中に入っていった。
「どう? 買えたみたい?」とyuko_nekoさんがささやく。
セルバンの窓に宿の人とパパのシルエットが映っている。どうやら何か渡されて、パパがお礼を言っているらしい。
自販機は無くて、受付で販売する方式なのかな?
パパが戻ってきたので聞いてみた。
「煙草、売っていたの?」
「いや、無かった。セルバンの人に相談したら、これ、私個人の煙草ですが良ければって売ってくれた」
なんと個人所有物を譲ってもらったみたいだ。すいません、セルバンの人。