子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★☆☆ 泉質★★★★☆ 内湯は少し熱め、半露天風呂はぬるめ、混浴露天風呂は適温
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★☆
子連れ家族のための温泉ポイント
松川渓谷温泉は、群馬と長野の県境に聳える志賀の山々に向かって伸びるルートに沿って点在する信州高山温泉郷の一軒宿だ。
下から紹介すると、室内プールもある日帰り温泉のYOU遊ランド、日本秘湯を守る会の宿と日帰り温泉が同じ敷地にある蕨温泉、自ら秘湯と呼ぶ子安温泉、温泉地らしい温泉街を形成する山田温泉、川沿いの混浴露天風呂を有する松川渓谷温泉、五色に変化する効能高い源泉の五色温泉、そして道は二手に分かれ、更に山を登れば牧歌的雰囲気の奥山田温泉に至り、谷へ下れば三軒の宿を残す七味温泉に至る。
松川渓谷温泉はちょうどこの信州高山温泉郷の中ほどに位置する。
湯治用の自炊施設を備え、宿泊する場合も比較的リーズナブルに利用できる。
前年、七味温泉紅葉館に宿泊したので道から見る景色は覚えている。
花咲く長閑な景観から、徐々に山を登り赤い橋を渡り山田温泉の温泉街を通り抜け、景勝雷滝に降りる遊歩道の入り口に建つごろごろ亭を見かければ、もうすぐ松川渓谷温泉だ。
松川渓谷温泉には三箇所のお風呂がある。
一番有名なのが川沿いの大きな混浴露天風呂で、その混浴露天風呂の手前というか入り口に男女別の岩風呂がある。
残る一箇所は宿泊棟に併設された宿泊者専用の浴室で、こちらは日帰り入浴者は利用できない。
松川渓谷温泉に日帰り温泉する場合、直接露天風呂の入り口で受け付けることになる。
だから駐車場で車を停めたら、川の方へ階段を降りなくてはならない。
駐車場から見える宿泊棟の入り口には、宿泊者のみブザーで呼んで下さいという張り紙があって、こちらは日帰り客の受付はしない。
混浴露天風呂は透明なお湯ではあるけれど、女性にも入りやすいよう気を配った作りだ。
脱衣所が男女別であるだけでなく、露天風呂に出る前に先ほど書いた男女別の半露天のお風呂があるので、そこで掛け湯したり洗ったりできるし、お湯に入るところも入りやすいよう考えて作られている。
しかも基本がバスタオル巻。
松川渓谷温泉では、誰でも気楽にこの広い川沿いの露天風呂が楽しめるようになっている。
昼間は日帰り客も多いので、朝一番で混浴に行ってみた。
タオルを手にいそいそと石段を下りると、途中すれ違う宿の人がおはようございますと挨拶してくれる。
木立の間から朝の日差しがもれる。
日中はじりじりと暑く感じるが、流石に朝晩は空気がひんやりしている。
石段を下り終えると左手に水車小屋が、右手に日帰り入浴の受付と食事処兼休憩室があった。
松川渓谷温泉に二食付きで泊まると、ここで食事を出されるようだ。
休憩室の建物の前には温泉卵を作る場所と、湧き水でスイカをふたつ冷やしている場所があった。
露天風呂の入り口はさらに先。
男女別のドアの足下は水がちょろちょろと流れているので、浴衣の裾をぬらさないように私は持ち上げて通った。
露天風呂は想像していたより広かった。
本当に大きな岩の露天風呂で、川は見えないものの遮るものもない空間だった。
深緑が頭上にせり出して、木漏れ日が湯面に反射する。
緑に囲まれているようなお風呂だった。
横に長く、ちょうど男女別の露天風呂への入り口は奥まったところにあり、女性用の出口正面には「女性専用席」と書かれた看板が立てられている。
松川渓谷温泉のお湯は、ごく僅かに白濁り、ほとんど透明な中に細切れの消しゴムかすのような白い湯の花が舞っている。
湯口は赤茶色に染まって、肌触りはきしきしするお湯の多いこの辺りの温泉でもダントツのきしきし感でとにかく滑りが悪い。
淡いゆで卵ととにかく温かいお湯の臭いがする。
それほど熱くはないのに、すぐに中から温まってしまう。
トンボがスーッと湯面を横切っていく。
何だかこの生活・・・とっても幸せ。