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巽の湯は、今までにも何度か車ですずらん通りを通る度に目にしていた。
通り沿いにあるから目立つけれど、やはり他の共同浴場同様、駐車場があるわけではないから車でアクセスするわけにはいかない。
三角屋根で直線的な印象の堂々とした造り。
中心部にあり積極的に観光客を受け入れている
白旗の湯、
千代の湯、
地蔵の湯を別にすれば、草津の共同浴場の中では比較的規模が大きいところのようだ。
建物自体、まだ新しそうだ。
脱衣所もかなり広く、ベビーベッドが倍のサイズもあった。
そう、草津の共同浴場というと、お湯は熱いしシャワーも無いし、とても赤ちゃんを連れていく環境ではないと思いがちだが、観光客には難易度が高くても、地元の人が家族で日常的に利用する場であることを実感したのがこれらのベビーベッド。ほとんどの共同浴場に備え付けてあった。
浴室内もちょっと変わっていた。
今までの共同浴場がみんな長方形の浴槽だったのに対し、ここは「く」の字型というか、「『」の形をしている。でもそれは女湯の話で、後で写真を見たパパは、男湯は長方形だったと言っていた。
形のせいか、特にお風呂が広く感じる。
採光もよく明るい。
お湯は勢いよくばしゃばしゃと音を立てて出ていて、温度も先ほどの
白嶺の湯より熱めで活きが良かった。
湯気が抜けるように屋根に段差を付けて隙間を開けてあるのだが、そこからはらはらと粉雪が舞い落ちてくるので、建物の中なのに何だか露天風呂にいるような不思議な気分だった。
上がると親子連れが入ってきた。
さっきの白嶺の湯の時もそうだったが、たまたま入るときは誰もいなくても、入れ替わり立ち替わり誰かしら入ってくる。
子供は小学校高学年ぐらい。
入る前に自分で髪をまとめようと四苦八苦しながら「上手く結べない、上手く結べないよー」と独り言を言っているのが可愛らしかった。
この後、
大滝乃湯に行こうと思っているので、私はあまり長湯しないで上がった。
草津の湯はヘビーなので、気持ちいいと思って調子に乗っていると、強烈な結果が待っている。
早めに上がったので、パパが出てくるまでしばらく外で待っていた。
待っている間にも洗面器とタオルを手にした地元の人が二人ほどドアを開けて入っていった。