10.その3 白旗の湯
関の湯を出て西の河原通りを真っ直ぐ行けば、草津のシンボル湯畑に出る。
どしゃどしゃと雨が降っているのに日曜だから人出もすごい。
岩を蛍光色に染めて大量の温泉が絶え間なく流れていくさまには草津のパワーみたいなものを感じる。
青みがかった綺麗なお湯。さっきの
関の湯は湯畑源泉だから、このお湯なんだな。
湯畑をぐるりと回ると、威風堂々とした江戸時代調の木造建築が目に付く。これが
山本館。自遊人パスポートで無料で入れるはずだから、明日入れたらいいな。
そして湯もみと踊りショーの熱の湯があって、
白旗の湯がある。
白旗の湯は草津で最も由緒有ると言われている。源頼朝が鷹狩りの折りに発見し入浴したという将軍お汲み上げの湯だからだ。
場所も湯畑の目の前でロケーションがいい。がらがらと引き戸を開け閉めする観光客の出入りが絶えない。
今までの
凪の湯、関の湯と違い、下足のところにも十数足の履き物が並んでいる。床も少しぬれていたので靴と一緒に靴下もぬいだ。
ここは脱衣所と浴室がつながった作りだった。
流石にどの観光マップにも場所が記されている著名な共同浴場だけに、脱衣所も浴槽も今までの二つよりはかなり大きく作られている。
そしてその分、人も多いのでえらく賑やかだ。子連れも二組ほどいた。
白旗の湯は白旗源泉。草津で白濁の湯に入りたかったらここか
大滝乃湯に行くといいと聞くが、確かに白い。膝下はほとんど見えないくらいの白濁湯だ。
臭いも味もここはアルミニウムを強く感じる。硫黄の臭いは少し。渋みよりレモンのような酸味が強い。
鳴子温泉の滝乃湯を思い出した。
浴槽は二つに仕切られ、大きい方は適温、小さい方は少し熱めで白い湯の花が多い。
源泉は二つの仕切の間の枠を流れてきて、十字路になった分岐をそれぞれ大きい浴槽、小さい浴槽、浴槽の外の三ヶ所に分かれるようになっている。木の札が二枚あって、それを置く位置で湯船に入る源泉の量を調節できる。面白い仕組みだ。
あまりに人が多くちょっと落ち着けなかった。
脱衣所に戻り服を着ようとしたら、いきなり濡れた布がびちゃっと肩に当たる感触がしてびっくりして振り返ったら、それは濡れたタオルではなく、今入ってきたばかりのおばちゃんのジャンパーが雨でびしょぬれのせいだった。
・・・ずぶぬれなら入り口で脱いで来てよ~。
外の雨はまったく止む気配が無く、混雑した白旗の湯は避難所にもならないようだった。