11.温泉饅頭で一休み
ところでお昼には美味しいきのこ鍋をお腹いっぱい食べたはずが、猛烈にお腹が空いてきた。
実のところ
関の湯を出た当たりから空腹感は耐え難くなっていた。
ど、どこかでエネルギーを補給せねば。
空腹で巡る温泉ほど辛い物はないし、巡れば巡るほど体力を使ってますますお腹が空く。
さっき呼び込みをしていた饅頭屋の一軒にでも寄って、一発試食してくれば良かった。
ふと目を上げると湯畑の向こうに「ちちや」の看板が。
きっとあそこまで行けば温泉饅頭が手に入るに違いない。
足を引きずるようにちちやへ向かい、店内を覗き込めば・・・。
何やら品良い店の中では、既に箱で購入することを決めたお客さんばかりがいるようす。冷やかし客もいないここでは試食は無理か?
仕方ない、バラで二個ぐらい買って店頭でぱくつくか。
カウンターに近寄ると、にこやかな店員が試食をどうぞ、と菓子皿を出してくれるが、そこに積まれた饅頭といえば、
・・・1/4サイズかい。
さっきの西の河原通りの饅頭屋はまるまる一個だったぞ。ちょっとケチっぽい(って、試食だけの客が何を言う)。
とりあえず有り難く1/4サイズの温泉饅頭を頂いた。
あんこの力はすごい。あっと言う間に体力を回復した。
回復したらとたんに買わなくてもいいような気になった。
いや、今じゃなくて、後でね。これからまだ共同浴場を回るつもりだし、雨の中饅頭の箱を持って歩き回るのは難儀だもんね。