6.元旦のばんどうの湯
ばんどうの湯の駐車場はかなり埋まっていた。
元旦から入りに来るお客さんが沢山いるのだ。
入り口にお正月飾り。
玄関からして段差がなくバリアフリーを意識したつくり。
大人300円、小学生未満無料と、元々非常にリーズナブルなのに、群馬の温泉のガイドブックについていたクーポン券でさらに一人無料、そのうえお正月なので年賀のタオルも二つつけてくれた。家族4人で300円しか払っていないのに大サービスだ。
今回はカナとレナはママと。パパは一人で。
浴室に入ると鼻腔をくすぐる臭い。
ああ、この臭いは知っている。温泉の中で一番好きな臭い。
柑橘系のオイルの臭い。オレンジオイルの洗濯溶剤。
子供たちを先に洗う。洗い場のシャワーが浴槽に近すぎて飛沫が飛びそう。
内湯からの眺めも素晴らしい。広がる渋川の市街地ときらきら光る利根川を見下ろし、その向こうには榛名山。さらに奥にはうっすらとした輪郭を見せて妙義山も。
子供たちはちょっと熱がる。
そこへ一人、小さな男の子が遊びに来た。人懐こい子で自分から名前を名乗ると、カナとレナに遊ぼうと声を掛ける。
「名前はなんて言うの?」
「木野まこと」とレナ。
そ、それは違う。セーラームーンの登場人物でしょうが!!
カナが「この子はレナちゃん、私はカナ」と正しい名前を告げる。
だけどキミ、温泉におもちゃの水鉄砲まで持ち込むのは反則だぞ(笑)。
お友達ができたからか、カナもレナも嫌がらずにお風呂に入った。
しばらく温まって今度は露天風呂へ。
その子もついてきた。手に持つ水鉄砲は持っているだけで使う気はないらしい。一安心。それにしてもお母さんはどこにいるんだろう(笑)。
露天風呂からの眺めも絶景。
流石に湯船につかったまま全ては見えないけど、立ち上がらなくても浴槽の縁に座って涼んでいるだけで、榛名山はとてもよく見える。
空は僅かに霞んだ広い青空で、冬の直射日光はまぶしいくらい。
なんて気持ちのいいお風呂だろう。
浴槽のつくりは循環仕様のようにも思えるが、とにかくお湯がいい。臭いはもうくらくらするくらいだし、露天風呂には茶色っぽい不揃いな湯の花がちらほら。表面にはうっすらと油膜が浮いていて、太陽に光に当たると虹色に光る。味は油入りの塩味。
臭いの強さは
林温泉を思い出すが、あちらが灯油臭だったのに対し、こっちは柑橘系で私は圧倒的にこの臭いが好き。同じ群馬の
リバートピア吉岡で初めて嗅いで、
まえばし駅前温泉ゆ~ゆでノックアウトされた。
それにここのお湯はとても泡付きがいい。びっしりというほどではないけど、何度入ってもかなり付く。
露天風呂の男湯と女湯の間には大きな水車が回っている。
水車の傍まで近づくと、目立たない場所に打たせ湯があった。この打たせ湯だけは思い切りカルキ臭くて早々に退散。
カナとレナはさっきの男の子が家族に呼ばれて上がってしまった後も、今度は別の男の子と遊んでいる。
年配者も多いが、家族連れも多い施設。お正月なので三世代で来ている人も多いようだ。うちの孫と遊んでくれてありがとうとお礼を言ってくださったおばあちゃんもいらした。とんでもない、こちらこそ。