8.迷いに迷って林温泉
流石に予定外ながら二つも温泉に入ってしまったので、今日はここまでかなと思っていた。
だけどパパは
林温泉に寄っても良いと言ってくれた。
但し、ママだけで入ってきて。
パパはもう十分なのだそうだ。子供たちもこれ以上は入るまい。今年の
東北旅行で、鳴子温泉の
滝乃湯、
すがわらと入った後に、私一人で
羽根沢共同浴場に入ったときと同じパターンだ。
林温泉は、
川原湯温泉を水底に沈める計画で有名な八ツ場ダム建設対策で掘削された4つの温泉のひとつだ。そのほとんどが地元の方専用、またはそれに近い扱いであるのに対し、林温泉のみは上毛新聞社の発行する「百湯百泉」というガイドブックに掲載されている。
これまで入ったのは営利目的の温泉がほとんどであるので、こういう基本的には地域のためにのみ存在する共同浴場にどんな風に入らせていただけば良いのか、またどこまで紹介して良いのか、なかなか迷うところだ。
迷うといえば、ここは迷って辿り着けないことでも有名だ。そのガイドブックに地図が載っているので判るだろうとたかをくくっていたのだが、何人かの方に「やんば散策マップ」が無いと見つけるのは困難だろうと教えてもらった。この旅行初日にその「やんば散策マップ」を八ツ場ダム広報センターやんば館で入手したのは既に書いたとおりだ。
さて、まずはカーナビに場所を入力しようとした。
…林という地名はナビにも載っている。だがそこまでだ。地名のみで道路がまったく記載されていないのだ。役に立たない。
やんば散策マップの「林コース」の地図を開いて目印を探そうとするが、この地図がまた、ドライブインだの食堂だの書いてあるだけで店名が何も記載されていないので、どうもどこがどこの曲がり角なのかよく判らない。
とりあえず145号線から狭い登り道の途中にある踏切を見つけて、曲がってみた。
最初そこは、馬頭観音に至る踏み切りだと思っていた。だが様子がおかしい。複雑な変形交差点が続けざまにあって小さな橋がある。こは中棚道祖神・弁才天のある道らしい。とすると…直進すれば左手に公民館があって、右手に林温泉があるはず。何だ簡単じゃないか。
…なんて具合にすんなりとはいかなかったのである。
いくら走ってもそれらしいものはないし、道もえらく狭い。こんな狭い通りに公民館があるのかな。
心配になってきた頃、イタヤカエデの表示を発見。
ありゃー、完全に行き過ぎている。林地区を抜けてしまう。戻らなければ。
ぐるぐる回って今度は小学校の敷地に迷い込んでしまった。何でこうなるの?
これで次に迷ったら、もう諦めて帰ることにしよう。
あっち…こっち…いや、ここじゃない、右へ曲がって、いや左だった…。
あんまりな人間ナビに、運転手は呆れかえっていたので。
いつの間にか最初に通った道に戻っていた。
やっぱりここしか考えられない。
右手に神社が見えた。
行き過ぎる。
止まって。
そうだ、確か神社の前くらいの位置。公民館はよく判らなかったが、神社の向かいに目立たないが林相談センターの文字。あった、その奥だ。
やっと見つけた~。