12.鶴の休石
湯町の湯を出てすぐに道向かいに薬師如来があるのがわかった。
既に温泉街は薄暗くなってきていて、小さな鳥居の上に並んだ提灯に灯りが入って目についたのだ。
目についたのも何かの縁と、石段を登ってお参りをした。
すると石段のわきにふれあい足湯という足湯があることに気付いた。かみのやま温泉はとにかく足湯が多い。
次は
新丁共同浴場だ。マップで見る限り、ここからの距離は
新湯の共同浴場ぐらいに離れている。
新丁まで行ってしまえば、あとは須川の支流に沿った大通り沿いに
下大湯、
中湯と比較的近い場所に建っていて、たどっていけば駅まで戻ることができるはずだ。
道は碁盤の目のようにわかりやすくはなく、イレギュラーな曲がり道も多いので、地図とにらめっこしながら歩く。
暗くなってからだと地図が見えなくなるのでやはり新湯に戻ったのは正解だったと思う。
湯町の温泉街を抜けるまではほぼマップの通りに歩けたが、そこから先はまたわからなくなった。仕方なく最後の手段としてスマホのgoogleマップを起動する。えーと現在地は・・・。
あっ、メールが届いてる。
スマホを出したらパパからのメールを受信していた。もう一時間以上前に届いていたらしい。「いま、何湯目?」と書かれていたので、「まだ三」と返信した。
そうなのだ。7ヶ所の共同浴場のうち、まだ半分も回っていない。間に合うのかな。間に合わないだろうな。
そして改めて地図を見比べると、やっぱり観光マップは間違っていた。
観光マップだとT字路になっている道が、現実とgoogleマップでは十字路になっている。
この先、道なりにゆるく左にカーブしたら、右に曲がるのね・・・と確認して、右に曲がったらその道は道じゃなくて階段だった。
ふむ。階段になっている道だからgoogleマップでは色が変わっていたのかな。
とにかくこっちでいいはずと思いながら階段を下りて、そろそろ左手に共同浴場が見えるはずと思いながら歩いていたらそれが見つけられないまま大通りに出てしまった。なんで?