子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★☆☆☆☆ 泉質★★★★☆ お湯は相当熱いかもしれない
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★☆☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
かみのやま温泉はJRかみのやま温泉駅から徒歩圏に7つの外湯が点在している。
半日かけて回ろうと、4番目に向かったのが新丁共同浴場鶴の湯。
湯町の湯から新丁鶴の湯までの距離は新湯澤の湯から湯町の湯ぐらいに離れている。
新丁まで行ってしまえば、あとは須川の支流に沿った大通り沿いに下大湯、中湯と比較的近い場所に建っていて、たどっていけば駅まで戻ることができるはずだ。
しかし観光マップの地図がいいかげんだったため、誤って階段を下りて細い道に入ってしまい、ようやく抜けた先の国道で「浴場前」というバス停を見つけた。
浴場前!?
ということはこの黒い木造の建物が探していた新丁共同浴場なのか!?
建物は見つかったが入り口はどこだ? とその黒い木造建築を回り込むように隣の道をのぞいた。
すると茅葺屋根にトタンを重ねたその建物の黒い壁に「鶴の湯」「憩いと交流の場 新丁共同浴場→」という看板を見つけた。やっぱりこれだ。
しかし何で看板に矢印がついているのだろうとさらに進むと、黒壁の建物にはそれ以上入口らしいところは見当たらず、振り返るとその道向かいに漆喰のはげかけた建物があり、そこに「ゆ」と書かれた抹茶色の暖簾が下がっていた。
なんのことはない、黒い木造の建物は共同浴場でもなんでも無かった。
でもこの建物とバス停がなかったら、新丁共同浴場は見つけられなかったと思う。
入り口の木の枠や看板は新しいが、やっぱりこの共同浴場も一歩入ると他と同様とても年季が入っていた。それもいい感じに。
箱状の古い木の下駄箱や入浴券の自販機も他と一緒。
男女別の脱衣所入り口の間に番台の小部屋があり、脱衣所に入る前にその番台の小さな引き戸を開けて入浴券を箱に入れる。
ここのお風呂は角をまるめた正方形だった。
きしつく肌触りだが、何湯も入ったからかするするとする感触もある。
最初はかなり熱かったが、先に入っていた地元の方がホースを湯船に引き込んで加水の蛇口を開けていたらしく、入っているうちにだんだんとぬるく物足りない温度になってきた。
ここも湯気がすごい。
かみのやま温泉の共同浴場はどこも湯気抜きをあまり考えないのか、まるでミスとサウナのようにけぶっていて、時々天井から冷たい滴が頭や肩を襲うことがある。
新丁共同浴場を上がった時点で5時近かった。
山形行きの電車の時刻が6時5分だから、駅までの道のりを合わせてあと1時間程度しかない。
かみのやま温泉外湯の中心的存在である下大湯共同浴場に寄った後も、私は最後まで中湯共同浴場に行くか行かないか迷っていた。
でもまあ10分もあれば一風呂浴びられるし、下大湯から駅へ向かう道の途中だから、これはまあ寄って行けとこういう展開なのだろう。
中湯共同浴場の位置は一番シンプルで、観光マップを見る限りこの大通り沿いにあるはずなのだから。
と・こ・ろ・が
そうはどっこい問屋がおろさなかった。
そうなのだ。めちゃくちゃ単純で絶対に見つからないことはないだろうと思った中湯共同浴場が見つけられなかったのだ。
ちょっとずれた十字路の角に黒い櫓のようなものが建っているところまで戻ってきておかしいことに気付いた。これは行きすぎだ。中湯共同浴場はもっと手前にあるはずだ。
もう一度観光マップを確認する。
すでに辺りは真っ暗なので地図を読むのは難儀するが、幸い大通りは街頭や店先の灯りもあるので何とかなる。
道沿いにあると思って周辺のランドマークを確認しなかったが、とにかく中湯共同浴場の斜め道向かいには山形信金があるようだ。山形信金を探せばよい。
せっせとまた元来た道を戻る。
山形信金はすぐに見つかった。
山形信金の道向かいの正面に小さな横道がある。あの奥が怪しい。
はたしてその小路を入り裏へ回れば確かにあった中湯共同浴場。
まったくどの外湯も一筋縄ではいかない場所にこっそりと入り口を開けている。
とても渋い雰囲気の建物だが、他の共同浴場とは少し雰囲気が違っている。後でgooglマップで調べたら同じ住所が上山市老人いこいの家という名称になっていたので、先ほどの葉山の寿荘ではないが、ここも年配者向けの施設を兼用しているようだ。
浴室は少し狭く思える。
他と同様湯気が凄くて視界が悪いが、入ってすぐ右手の壁際に二つの浴槽がくっつけて並べてあるようだ。
湯口に近い方が熱い湯、浴槽の一部がつながって、また上からあふれた分がもう一つの浴槽に流れ込んでいるらしい。
迷わず熱い方に入ったところでもう一人お客さんが入ってきて隣の浴槽に入った。
この熱い湯は本当に熱かった。
最初に入った新湯の澤の湯も熱かったがそれにも増して中湯は熱かった。その熱い湯が湯口からざんざんと注がれて流れていく。浴槽に対する投入量はここが一番多かったと思う。
湯口はここも塩の塊みたいな析出物がびっしりとついてざらざらになっている。無色透明。臭いは特に無い。
何だかかみのやま温泉に何湯も入ったことで熱さになれちゃったみたい。熱いと思いながらも無理しないで入ることができた。
しかし時間はあまり無い。
適当なところで切り上げて中湯共同浴場を後にした。
先ほどの小路に出ると正面にライトアップされた上山城が見えた。