13.新丁共同浴場 鶴の湯
大通りを右に行けばいいのか左に行けばいいのかわからない。
観光マップを信じるなら大通りに出る手前に共同浴場があったはずなのに。
とりあえず駅のある右に行きかけて、左に行ってみた。左に見つからなければどうせ駅の方へ歩かなくてはならないのだ。
すると、すぐに黒ずんだ木造のひと気のない商店みたいな建物があり、その建物の前に「浴場前」というバス停が立っていた。
浴場前!?
ということはこの黒い木造の建物が探していた
新丁共同浴場なのか!?
入り口の木の枠や看板は新しいが、やっぱりこの共同浴場も一歩入ると他と同様とても年季が入っていた。それもいい感じに。
箱状の古い木の下駄箱や入浴券の自販機も他と一緒。
男女別の脱衣所入り口の間に番台の小部屋があり、脱衣所に入る前にその番台の小さな引き戸を開けて入浴券を箱に入れる。
ここのお風呂は角をまるめた正方形だった。
きしつく肌触りだが、何湯も入ったからかするするとする感触もある。
最初はかなり熱かったが、先に入っていた地元の方がホースを湯船に引き込んで加水の蛇口を開けていたらしく、入っているうちにだんだんとぬるく物足りない温度になってきた。
ここも湯気がすごい。
かみのやま温泉の共同浴場はどこも湯気抜きをあまり考えないのか、まるでミスとサウナのようにけぶっていて、時々天井から冷たい滴が頭や肩を襲うことがある。