お風呂から上がってくると、パパは私がお風呂に行った時と寸分変わらぬポーズでテレビを見ていた。
そして案の定、もう外に出るのが面倒臭くなったと言った。
ぜーったいそうなると思った。
そのために非常食買っておいて良かった。
だって外、寒いんだもん。
冬の草津は半端なく寒いんだもん。
ちょっと貧乏くさい気もするが、部屋でさっき買ってきた食料を温めて食べた。
まあ炬燵から出なくて済むのはありがたいか。
寝る前のお風呂は最後に取っておいた駿河屋の湯畑の湯。
ここは浴室や浴槽の大きさは違っても浴室のデザインはわたの湯とほぼ同じ。
浴槽はわたの湯は角を一部まるめてあったけど、湯畑の湯はほぼ正方形。
お湯には濁りはない。
でもどこかほんのりとベールが掛かったように白っぽくもある。
酸っぱいにおいと硫化水素のにおいはわたの湯より弱い。
代わりにわたの湯より温度は少し熱め。
熱いと言っても凪の湯はもちろんのこと、白旗乃湯や今日入った他の共同浴場に比べればぬるいくらい。体をこわばらせないでゆったりとリラックスできる程度の温度。
わたの湯ほどではないが、まろやかさもあるお湯。
湯上がりの指はしわしわでかわきつつも妙にすべすべする。
とにかくこの湯畑の湯は草津の中でもえらくあたたまる系のお湯。
だから髪を洗うのも脱衣場もぜんぜん辛くなかった。
寝る前のお風呂にぴったりだ。