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◆紅葉の湯田中渋温泉郷 湯けぶりウォーク◆1-9


9.安代大湯

 とにかく鍵を借りて大湯に行ってみることにする。
 パパが先に、交代で私も行くことにした。

 戻ってきたパパ曰く、お湯が半分しか入っていなかった。激熱だった・・・とのこと。
 ふむ。
 早速自分も鍵を手に出かけてみると、3時になるかならないかという時間だったにも関わらず、既に先客が何人かいた。どうもみんな地元の人らしい。
 大湯の建物はなかなか立派だ。安代温泉というと渋温泉の名前に隠れて知名度はもうひとつだと思うが、建物の前にある赤い郵便ポストがいい味を出している。

 中はタイル張りで、直線と円形を組み合わせたデザインなど、安代館のお風呂にも共通するところがある。
 パパより遅く出かけたせいか、女湯は既にお湯がいっぱいまで入っていた。

 ちょうど同時にもう一人の入浴客が入ってきた。
 私を見て、「今日は清掃日でしたよね?」と聞く。
 「え?」な、何で私に聞く。
 「あっ・・・」
 向こうもやっと私が観光客だと気づいたらしい。
 浴衣も着てないし、時間も時間だからてっきり地元民だと思われたようだ。
 「そう、確か今日は清掃日だったの。だから中はすごく綺麗になっているはずよ」
 なるほど。だからパパが行ったときにお湯が半分しか入っていなかったのか。
 入れ立てのお湯に入れるのは嬉しいな。
 「熱かったら水を入れてもいいですよ。あんまり入れると薄くなるから沢山は入れちゃ駄目だけど」
 いや、がんばって入ります。


奥が安代温泉の外湯、安代大湯。
こちら側との他、反対側にも入り口があって、両方に脱衣所がついている。 お風呂は結構広い。デザインは安代館の竜宮風呂に通ずるものがあるような気がする。
この画像はパパが撮影した男湯なので(女湯も同じ作り)、お湯がまだ半分しか溜まっていない。


 他の共同浴場も後で巡ってみて思ったが、地元の人はみんなマイシャンプーや石鹸を持ち歩いていてがしがしと洗っているので判る。ここでの観光客は、基本的にみんなどこかの宿に泊まって鍵を借りているはずだから、不便な外湯で洗髪したりなどしない。シャワーのある宿のお風呂でやってくるはずだ。

 掛け湯をすると、うわあ、確かに熱い。
 これはカナやレナを連れてくるのは無理だ。
 飯坂温泉鯖湖湯クラスの熱湯だ。
 出汁昆布臭。無色透明すっきりしたお湯で、ぬれたまま腕をこするとオイリーなすべすべ感がある。
 何度か出たり入ったりを繰り返すうちに、足がすっかりまだら模様になってしまった。鯖湖湯の時と同じで、膝下がずきずき痛み出した。くうー、効くわ。

 戻ったらロビーのところに女将さんがいらしたので、もう一つの外湯について聞いてみた。
 やっぱりちゃんとある。
 安代大湯よりもう少し渋寄りで、道の左手にあるという。大湯よりはかなり小さいらしい。
 大湯に入ったのと同じ鍵で入れるというので今度は子供たちも連れていくことにした。
 ・・・というか、正確には一人で行こうと思っていたのだが、まずパパが先に行ってくると言い、そうしたらカナもレナも一緒に行くと言いだしたのだ。 


安代館の所有する安代温泉外湯の鍵。
大湯と書いてあるが、開花湯にも使用できる。




1-10.犬、入浴お断りへ続く


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