浴衣姿だと9月の早朝は少し寒い。
新飯坂を出て真っ直ぐ歩くと、どことなく活気のない通りの印象は昨夜とあまり変わらなかった。
昨夜は中心地目指して途中で左折したが、今朝はさらに直進する。
旅館でもらった半分コピーのつぶれたような地図では、常泉寺の近く、
鯖湖湯に行く途中にもう一軒共同浴場のような印が記載されていたが、実際にはそこには民家と駐車場しか見つからなかった。
そして6時半、鯖湖湯前に到着した。
朝早くからやってきた観光客のものか、湯小屋の前には何台か路上駐車の車がある。古くからある温泉街はたいがい同じだが、ここ飯坂も共同浴場用の駐車場は無い。観光会館であるパルセ飯坂という建物の専用駐車場に停めるようガイドブックなどには書かれているが、パルセ飯坂から鯖湖湯までは5分ほど歩かなくてはならないため路上駐車する輩も出るのだろう。
パパは鯖湖湯に入るつもりだったが、私は八幡湯に入りたかった。
鯖湖湯は過去二回入ったことがあるので、どうせなら違うところがいい。
「私は
八幡の湯に行ってみてもいい?」
「待ち合わせはどうする?」
「・・・」
「いいよ、じゃあ一緒に行こう」