子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★☆☆☆ 泉質★★★★★ 湯は熱め、泉質は問題なし
- 設備★★★★★ 雰囲気★★★★☆ 脱衣所にベビーベッド及び大浴場には赤ちゃん用の椅子とシャワーハットも有り
子連れ家族のための温泉ポイント
飯坂温泉は今あまり元気が無い。夜に外をそぞろ歩いても、通りはどこもひっそりとしている。
飯坂温泉と言えば一昔前の歓楽街。
飲んで騒いでの団体客を受け入れて発展してきた情緒のない温泉街は、今どこも苦戦を強いられているはずだ。
そしてまた飯坂温泉と言えば熱い湯。
今どき我慢比べみたいな熱湯は流行らないんだろうか。おまけに無色透明の単純泉だし、良さが判る人ばかりじゃないということだろう。
そんな中、ちょっとがんばっている宿がある。
温泉街より少し離れた坂の下。お湯は自家源泉100%の非加水非循環掛け流し。内風呂は本館別館の二ヶ所にそれぞれ、露天風呂は混浴の大きなもの、宿泊すれば貸切露天風呂などもある。
福島の庭園30選にも選ばれた滝のある庭園は不動明王を祀った剣が錆びてはいるものの、玄関前に足湯、女性には色浴衣、ロビーでは子供向けの昔懐かしい玩具なども貸し出し用に並んでいて、知恵を出してお客様に喜んでもらおうという前向きな姿勢が見えて嬉しい。
本当のところ、こんなに安く泊まらせてもらっていいんだろうかと思うくらいに。
混浴露天風呂は歩楽里(ぶらり)と名付けられている。
別館の大浴場のある廊下の突き当たりに、外へ出る無粋なドアがあり、そこでサンダルに履き替えるようになっている。ここのサンダルにも子供用があった。脱衣所は綺麗に作られていて感じよい。
露天風呂はかなり広く、上と下からお湯を入れている。吸い込み口は無く、完全掛け流し。お風呂の広さで自然冷却するようになっていて、入り口にこの辺が熱めでこの辺がぬるめと丁寧に図解してある。
ぬるめのところのお湯を見ると、確かに決して熱くない。ちょうど良いくらいだ。
飯坂温泉の湯は無色透明の単純泉で、特に強い臭いや感触があるわけじゃない。
ほんのりと甘い石の臭いがする。石の臭いっていうのも変だけれどそんな感じ。どこか懐かしい優しい臭い。
夜の露天風呂は静かで誰もいなくてくつろげた。
本館の内湯は、床や壁は大理石、浴槽の縁は御影石で、中はタイル貼りになっている。
お風呂の形は長方形で、湯口の辺りだけ岩が積み上げてある。
お風呂に入る前に髪を洗ってしまおうとシャワーを使ったら、あれ、このお湯の臭い、シャワーのお湯も源泉だ。
お湯は露天風呂のぬるめのところよりは熱かったが、それほど入りにくい温度ではない。源泉温度は熱いが、湯量を絞ることによって適温に保っている。露天風呂もだが、いっさい加水はしていないと明記されていた。
とろみがあってこちらもほんのりと石の甘いような懐かしいような淡い臭い。
きしきしわずかにべとつく無色透明清冽な湯。
湯口の周りの石は飛沫の析出物でとげとげに。特に湯口の奥のパイプの周りはハリセンボンみたいになっていた。
新飯坂の源泉は、入り口の橋を渡って30mぐらいの所から汲み上げている。
といっても飯坂温泉の源泉は地下で繋がっている。他の旅館でお湯を沢山使う時間帯になると、とたんにこちらの源泉口でもお湯の出が悪くなるのだそうだ。
これは温泉資源の枯渇にも関する大事なこと。循環すればいいなんて決して思わないけれど、天然資源としての温泉が存在することに感謝しなくては。
飯坂温泉の湯は美肌効果満点。
湯上がりの肌がすべすべさらさらであるだけでなく、シャワーから出るお湯も源泉だから髪までもつやつやだ。
嘘だと思うならぜひ新飯坂に足を運んで、あなたにも試してみてほしい。