8.長崎駅総合観光案内所
小浜温泉を出発した県営バスが長崎駅前に到着したのは10時44分だった。
小浜温泉や諫早のようなターミナルの屋根の下ではなく、駅前の大通りに面した降車場だった。
すぐ近くに大きな駅舎が見えている。
荷物を座席の下の収納スペースから出してもらうのを待って、早速駅舎に向かってみた。
駅舎のドーム型の屋根の下に入ると、すぐに総合観光案内所は判った。
ガラス張りの明るいスペースで、受付の隣にはずらりと長崎さるく案内というリーフレットが壁一面に陳列してあり、奥にはちょっとしたカフェのようなコーナーもある。
私は重たい荷物を抱えて受付に歩み寄った。
「すいません、これ、手ぶらで長崎観光で、
稲佐山温泉アマンディに運んでもらいたいんですが・・・」
受付のお姉さんは後ろを振り返った。
何やらもう一人の係り員とぼそぼそと話している。
何かまずいことでも?
それからお姉さんは大変失礼ですがと切り出して、「アマンディはこのサービスに加入していません」と答えた
・・・えっ。
想定外だ。
なんでも去年は加入していたが、今年は抜けてしまったのだとか。
それじゃあしょうがないなぁ。何のために中央橋でバスを降りずに長崎駅前まで来ちゃったのかよく判らなくなってしまったが・・・ああ、でもどっちにせよ荷物を何とかしないといけないのか。でもって大型ロッカーを探すなら、やはり中央橋ではなく長崎駅前だろう。そう考えればこの行動は無駄ではない。
じゃあ次に・・・
「大型コインロッカーはどこにありますか?」
荷物がホテルに直接運べないならロッカーだ。
「コインロッカーは、駅を出て駅の建物に添って左へ歩くと左手にあります」
もうひとつ。
「アマンディの送迎バスがどこに停まるのかも教えてもらえませんか?」
係りのお姉さんは小洒落たリーフレットを取り出した。
夜景の写真で彩られたそれは今夜泊まるはずの稲佐山温泉ホテルアマンディのリーフレットだった。
リーフレットの一番後ろに迎えのバスは「交番前」とあった。
「交番も駅を出て左に歩くと正面にあります」
「どうもありがとうございました」