子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★☆ 塩分が濃いので長湯には少し注意
- 設備★★★★★ 雰囲気★★★★☆ 貸切風呂が3つもあるので子連れにもお勧め
子連れ家族のための温泉ポイント
旅館國崎は小浜温泉の外れに位置する小ぢんまりとして見える瓦屋根の建物だ。
近づいてみると、渋いながらもとても洒落た店頭幕を張った外観だ。日本秘湯を守る会の提灯も下がっている。
お湯はもちろん自家源泉。敷地内100mほどの深さから毎分430L湧出する高温のお湯を男女別内湯の他、複数ある貸切風呂に贅沢に使っている。濾過、循環はせずそのまま掛け流し。
我が家は宿泊利用だったので、浴室を案内してもらってから部屋に入った。
広い大浴場を作るのではなく、小ぢんまりとした貸し切り浴室を複数作るという旅館國崎のシステムは、昨今の温泉旅行客のニーズを考えると非常によくできていると思う。
うちわけはまあまあ大きな男女別内風呂の浴室が各一つずつ、貸切風呂が三つ。貸切風呂のうち一つは貸切露天風呂で、残りは半露天の石風呂と桧風呂となる。
三か所ある貸切風呂は、予約などはいらず、内側から鍵を掛けると廊下にある専用ライトが点灯するようになっている。
だから、一つ一つの風呂を見に行かなくても、廊下のライトを確認すれば、今どこの風呂が使えるか一目で判る。
一番先に入ったのは露天風呂。
露天風呂は細長い階段を上がったところにある。
まず入り口の鍵を掛ける、するとこの露天風呂が使用中であることを示すライトがつく。それから前述の細長い階段を昇り、小ぢんまりとした脱衣所に到着する。そしてすぐに露天風呂だ。ちょっと大きめの家族風呂サイズと言ってよい。
石造りの浴槽だが表面は平らで、いわゆるごつごつとした岩風呂ではない。
四方は囲われていて眺望はまったく無いと言ってよいが、ごく小さな植え込みなどもあってくつろげる。
お湯の温度はぬるめ。僅かにフロストガラスのような濁りがあるもののほぼ無色透明。
先ほど夕方に入った海上露天風呂・波の湯「茜」と比較するととろりと濃いような気がする。
二つ目に入ったのは桧風呂。
湯気がもうもうで蒸し風呂のようになっていたそこは、薄暗い中に桧の丸太を組んだ浴槽がある。
何と言うか、普通のお風呂のように浴室と浴槽が一体になっているのではなく、丸太で組んだ大きな浴槽をどしっと設置した風なところが変わっている。
だから浴槽の縁が、他のお風呂より高い位置にあるような気がする。ふしぎな感覚だ。
そして浴槽の横には丸太を縦に薄く割って板にしたものをキャンバスにしたユーモラスな絵が掛っている。
お湯は露天風呂と比較して、一番濃いような鮮度が良いような気がした。
浴槽が木というのも好みだ。
最後が男女別内湯で、ここは翌朝に入った。
内湯は昔からある感じのタイル張りの床の浴室で、他の三か所のお風呂が貸切であるのに対していつでも利用できるようになっている。
つまり貸し切り風呂は先客がいたら利用できないが、三つとも埋まっていても男女別内湯だけは利用できる。
またそれ故に、ここだけが男女別になっている。
さらに他の貸切風呂に比べて洗い場が広いので、髪を洗ったりするのにも適しているかもしれない。
浴室入り口の真正面に何故かもう一つドアがあって、開け放たれていた。
ドアの向こうは外なのだが、すぐに板張りの塀があってよく見えない。
あの向こうに露天風呂があるとも書いていないし、どこに通じているんだろう・・・。
お風呂につかりながらそんなことを考えてドアを見ていると、いきなり大きな洗濯かごを抱えた仲居がそのドアから浴室に入ってきた。
浴室に用があるという風ではなく、いかにも近道なので通りましたという感じ。思わず面食らってしまった。
さて、旅館國崎の桧風呂の横には板に描かれたユーモラスなイラストが飾られていたが、この絵に限らず、旅館國崎の館内にはあちこち素敵なイラストがある。
例えばこの浴室のシャワーのところにも、シャワーをクジラに見立てた「シャワーはお湯になるまでちょっと待ってね」という木片とか。
実はこれらのイラストは、全て御主人の奥さまのお父様の筆によるものだそうだ。
絵の先生をしていらっしゃるというお父様の、センスが感じられるイラストは館内のあちこちで目にすることができるので、探して歩くのも楽しいかもしれない。