6.激しい雪の中、紅葉館は待っていた
「またB級ですか?」とパパ。
「B級なんて失礼な」
「
半出来とかみたいな」
「B級と言えば半出来じゃなくて
湯端でしょう」
「湯端はC級だよ」
「とにかくここはB級じゃないの」と私。
「老舗ってやつですか」とパパ。
激しい雪の中、レトロな丸い赤ポストを玄関脇に置いた
紅葉館は建っていた。
がらがらと戸を開けると、薄暗い帳場。
立ち寄り料金は一人500円。
高くはないけど、子供料金の設定は無く、全員500円。
古びた廊下の先に雲井乃湯と呼ばれる男女別の浴室があり、寒そうな脱衣所には脱衣棚と木の椅子、そして石油ファンヒーターが置いてある。
トイレは脱衣所にはなく、廊下の更に先。
後で見たら、そこだけ改築したてのようで、木造の高級旅館のような様相だった。