子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ 湯温は温め、泉質は特に刺激なし
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★☆☆ 赤ちゃん向けの設備は特になし、トイレが脱衣所に無いので幼児連れも注意
子連れ家族のための温泉ポイント
利根川の支流、吾妻川に沿って長野と群馬を結ぶ長野街道が通っている。群馬方面から道に沿っていくと、ダムの底に沈む川原湯温泉を過ぎ、草津への分岐を過ぎると、城跡もある羽根尾の先、袋倉という場所にとても面白い名前の温泉がある。
半出来(はんでき)温泉。
登喜和荘という一軒宿でこの温泉に入ることができる。
もちろん温泉の出来が半分ということではない。半出来とは小字名。元々作物がよく育たず半出来と呼ばれた地名に由来する。
宿は国道沿いで、一言でいうとかなり襤褸である。
しかし佇まいと裏腹に、駐車場は5、6台の車が停まっており人気がありそうだ。
私たちが降りる準備をしている間にも、もう一台新しい車が停まり、若いカップルがタオルを手に降りてきた。
ここは昭和50年創業。その頃から建て替えていない感じの古そうな建物だ。絵になる古さではなく、B級感の増した古さだ。
お風呂は男女別の内湯から外に出て、露天風呂に至る。露天風呂は混浴だ。
内湯で軽く洗ってから、外へ通じるドアを開ける。
露天風呂はすぐそこなのかと思ったら、男湯と女湯それぞれからタイルが点々と渡された道が続いており、露天風呂は川沿いだった。
さんさんと照る日差しの下、女性がタオル一枚で行くにはちょっと勇気がいるなぁ。
何やら怪しげな入り口の下に、ボロボロの「ゆ」の暖簾が下がっている。
パパと娘のほかに先客がいる。先ほど駐車場で見かけたカップルだ。
露天風呂は四角い木の浴槽で、端に二つほど樽が入っている。四角い浴槽は二つに区切られていてかなり温い。樽はそれぞれ一人用のサイズで適温の湯が注がれている。
なかなかどうして強烈なお湯だった。
お湯の色は透明に近いのだが、茶色、黄色、赤、緑とあまりにカラフルで巨大な湯の花やら藻やらが漂っているので、ほとんど温泉に入っているというより池の鯉にでもなったような感じなのだ。浴槽の木の部分にも藻が大量に張り付き、ぬるぬるすることこのうえない。いや、これは旅館が清掃をしていないのではなく、泉質と紫外線によるもので害は無いと脱衣所にも記されていたが、人によってはとても入る気にならないかもしれない。
泡もかなりつく。
はらってもはらってもというほどではないが、気がつくと微細な泡が全身にびっしりとついている感じだ。
湯中ではきしきしとくるのに、湯から出ると僅かにぬるつく。
源泉温度は43度。
最初温い方に入っていたら寒いような気がしたが、一度、樽の方に入ると、熱くは無いのにすぐにのぼせてきて、あとは温い方で十分という気持ちになる。
それにしてもここの湯の花はすごい。茶色い塊に、花粉のように小さな丸い黄色い塊が点々とついていたりする。緑の藻はゆらゆらと、大きいものは磯海苔のようだ。
湯の花は体にも付着するので、パパの胸元にいつのまにか黒っぽい泥のようなものがついているのに気づいた4歳の次女は、せっせとお湯をかけて落としてあげていた。ここで使ったタオルは、草の汁が染みたように緑色になってしまった。入浴するほど汚れる温泉というのも初めてだ(笑)。
ここはスッポン料理でも有名な旅館。
パパはこの露天風呂、元はスッポンの養殖場だったんじゃない?と言う。
真相は如何に?
内湯には飲泉用のコップもある。ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分、ミネラル、とにかくいろいろ入っているらしい。胃酸の分泌を即し胃腸に良いそうだ。昨日の群馬温泉に似た意外なアブラ臭。機械油のような臭いに、甘塩味、さらにちょっと苦味もある複雑な味。面白いお湯だ。
湯上りは暑いくらいぽかぽか。
ぬるさとB級ぶりにパパは上出来というよりやっぱり半出来と感想をもらしたが、私はとても面白かったよ。