最終日 2006年11月26日(日)
草津は夜も寒いが朝も寒い。
寝起きでまだぼうっとした頭を振りながら宿の外へ出ると、冷たい朝の空気が頬を包んだ。
昨日朝風呂に行き損ねてしまったので、今日こそは。
つっかけサンダルで背中を丸めて両手はコートのポケットの中。
もう7時45分。
早起きとは言い難い時間。
8時の朝食に間に合うよう帰るには、大急ぎで一風呂浴びてしまわなくてはならない。
共同浴場
瑠璃の湯にやってきた。
ここは湯畑からそう離れていないが、観光案内に載っている
白旗・
千代・
地蔵の御三家とは違い、こぢんまりとした地元向け風の外湯だ。
ドアを開けるとザアッとお湯を掛ける音が聞こえた。
地元の方が一人入浴中のようだ。
「おはようございます」と声を掛けて入ると、「今何時?」と返された。
「8時10分前ぐらいです」
「じゃ、急いだ方がいいわよ。もうすぐ清掃時間だから」
瑠璃の湯の浴槽は打ちっ放しコンクリートのように味気ないものだが、それはそれ、飾り気が無くて共同浴場らしさがある。
長方形ではなく、手前に出っ張った角のある変形五角形のような形。
気持ち熱いくらいの緑色透明なお湯が満たされている。
ここも千代の湯や
喜美の湯と同様、湯畑源泉だ。
喜美の湯でも思ったが、これら共同浴場では引き湯の関係かあまり臭いはしない。湯畑の源泉や千代の湯
時間湯では硫黄の臭いや酸っぱい臭いが強いのに。
冷えた体にじんじんお湯の熱さが染み渡る。
目がしゃっきりと覚めた。
朝風呂はこの感覚が好き。眠気まなこで入って、きりっと出るの。
それに今日、どうしても共同浴場に朝風呂に行きたかったのにはもうひとつ理由がある。
いつもなら温泉旅行の帰りにどこかまた別の温泉に立ち寄って帰るのが常だけど、時間湯の帰りにはどこにも寄りたくない。
というか、時間湯のレベルは他の追随を許さぬほどあまりにも高くて、その後にどこに入ってもがっかりするだけだから。
前回それをひしひしと感じて、それはやはり時間湯にも、また寄った温泉にも失礼な気がして、今回は先に入っておこうと思ったもの。
だからここで朝風呂に入っておいて、それから最後にもう一回時間湯をやって帰途につくつもり。
忙しないけどすぐに上がった。
ゆっくり着替えていた先客を追い越し、お先に失礼しますと外に出た。