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◆◇レンタルキャンピングカーで北海道◇◆
北海道キャンプ旅行記

10.残照






 時間は急ぐというよりむしろ有り余っていて、しかもこの先どうするか曖昧なままだった。
 そんなことだったのでお風呂にも随分ゆっくり入っていたのだが、意外にも上がったのはパパより私とカナの方が先だった。
 万華の湯の食事処は華花という。





 カナが窓の外を差してすごいすごいと言った。
 雨上がりの空は半分ほどが雲で覆われていて、遠くの雲の一部が残照で力強いオレンジ色に染まっていたのだ。
 なんで北海道はこんなに空が広いんだろう。





 お腹が空いたので少し注文しながら待っているとパパが上がってきた。
 そこで今後の相談だ。

 昨夜のTACの駐車場ではあるまいし、流石にホテルが併設されている温泉の駐車場で停めてもらうわけにはいかない。
 そこで、どうしても十勝岳温泉凌雲閣まで行くのなら、この後そこまで走ってそっちで停まれる場所を探したらどうか。
 スマホで凌雲閣を調べたところ、どうも凌雲閣のすぐ横にたぶん登山用と思われる公共の駐車場があるようだ。トイレもあるし、今夜はここに泊まったらどうだろう。

 ちょうどジグソーパズルで希望のピースが全部はまったようなアイデアだったが、何故かカナが反対した。
 「泊まるのキャンプ場じゃないの?」
 車がキャンピングカーなんだからどこでも同じじゃんと私は思ったが、カナは不満そうだ。
 後からわかったが、彼女は鮭を食べることにこだわっていたらしい。何のことかと言うと、釧路で買った鮭がまだ一部生のまま残っていて、これを早く焼いて食べないといけないと思っていたのだ。
 釧路のキャンプ場に泊まった時はこの先もほぼ毎晩キャンプ場に泊まるから鮭を焼く機会はいくらでもあるだろうというパパの判断だったが、予想外に昨夜はラフティング催行業者の駐車場に、今夜は登山用の駐車場に泊まることになり、どんどん予定とずれてしまった。
 先のことを言うと、明日の晩はようやくキャンプ場に泊まることができたのだが、もう鮭はダメになっていた。こんなことなら炭火に拘らずに帯広で買ったカセットコンロで焼いてしまえば良かった。
 いやいやレンタルキャンピングカーの電気系統が故障しなければ、そもそも車内の冷蔵庫だって使えたのでこんなことにはならなかったかもしれない。


万華の湯のエリアは庶民的だが、ふらのラテール側はちょっとしゃれた雰囲気に。



 さて、ここで夕食をがっちり食べる前にそろそろレナを呼んでこなくては。
 あれほど行かないと頑なに言い張っていたレナをどう懐柔するか。私とカナは顔を見合わせ、そしてプラネタリウムみたいなお風呂があるって言えば来るかもという結論に達した。
 結局それを携帯で連絡して、後はパパが万華の湯の受付で事情を話して一度駐車場まで出してもらってレナを連れてきた。

4-11ザンギって何だ?へ続く


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