子連れ家族のための温泉ポイント
- 湯温★★★★★ 泉質★★★★☆ 露天風呂の温度はぬるめ
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★★
子連れ家族のための温泉ポイント
富良野と言えば思い出すのが憧れの十勝岳温泉凌雲閣。
過去2回、入りたいと思って叶わずにいて、ようやく三度目の正直。訪問が叶った。
天気のよくない中、凌雲閣の脇にある公共駐車場で夜明かししようと出発。
道道291号線こと吹上富良野線を登る山道は、最初は余裕でも、そのうちに斜度が急になり、図体の重いキャンピングカーはカーブひとつ曲がるごとによっこらしょと苦しむようになってきた。
山はすっぽりと雲に覆われているのか辺り一面靄の中だ。
靄の向こうにぼんやりとオレンジ色の灯りが見えた。
きっとあれが凌雲閣だ。
あそこまで登れば・・・
夜が明けても辺りは真っ白のままだった。
全てがうすぼんやりとした靄に包まれている。
湿った靄は吸い込むと肺に重たく感じる。地面もぬれていて、もうこれは靄なのか霧雨なのかよくわからない。
凌雲閣の日帰り入浴時間が8時からなのか10時からなのかはっきりせず不安だったが、幸いこの日は8時からだった。
ごちゃっとした小さな売店を隣に置いた帳場は旅館というよりも今でも山小屋という雰囲気を残している。
おやじさんに入浴料を払い、やっと来られた憧れの十勝岳温泉凌雲閣だぁと思いながら浴室へ。
ちょっと肌寒いがお風呂に入ればあったまるだろう。早く早く入りたい。
浴室は湯気もあって薄暗く感じた。
もう建物の外も中も靄がかかってうすぼんやりしている感じだ。
湯治場のような雰囲気。あちこちに源泉の色が染みついていてタイルの浴槽の壁側には一部大きな岩が置かれている。
源泉は1号井、2号井と二本有って、1号井は高温の酸性・含鉄(II)-アルミニウム・カルシウム-硫酸塩泉、2号井はほぼ体温ぐらいの温度のカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉となっている。
露天風呂へは浴槽のお湯の中を歩いてアプローチするようになっている。
簡易なドアをギイイと開けると思わず声が出る。
十勝岳温泉凌雲閣の露天風呂は絶景でも知られる。
森へ向けて高台から船のへさきのように突き出したお風呂だと思った。
たぶん外の景色には山も見えるのではないかと思うが、いかんせん半分靄の中だ。
しかしお湯がまた非現実的に思えるほど明るい茶色、まるでレンガか濃すぎるオレンジジュースのような色合いなので度肝を抜かれる。
振り返ると後ろにもう一つ浴槽があった。
頭をぶつけそうになるが、狭い半洞窟のような作りになっている。入っているお湯はこちらも絶景露天風呂と同じ茶色の源泉だ。
茶色のお湯は濁りが強く、色が付く元の細かい粉がはっきりわかるほど。
鉄の臭いが凄く、肌が引っかかるようなきしつきがある。
温度はかなりぬるめでゆっくり入れると言えばそうなのだが、上がるときに寒さを感じるほどだ。
中のお風呂にも入ってみた。
こちらは浴槽が三つあり、一番大きいものには露天風呂と同じ茶色い源泉がパイプから注入されており、そこに隣の透明源泉のあふれた分が流れ込むようになっている。パイプの近くはかなり熱いが、透明なお湯がぬるいせいか全体的にはぬるめになっている。こちらのお湯の色は露天風呂ほど濃くはなく、わずかに緑がかって味噌汁のように見えた。
透明なお湯の方も入ってみると個性がある。少し酸味のあるお湯でわずかに甘い臭い。半透明の大きな湯の花がゆらゆらしていた。
この他に脱衣所寄りのところにもう一つ透明なお湯の入った浴槽があり、これだけが熱いお湯だった。
ひととおり入り終えて、やっぱり景色が見たいと少し寒いがもう一度露天風呂に出た。
するとちょうど風が靄を吹き飛ばしてくれたのか、さっきまで見えなかった遠方の山々がうっすらと見えた。
その景色はみるみるうちにくっきりとしてきて、そしてそれはまた一瞬のことで、気が付くと再び露天風呂の周囲は真っ白な靄に包まれていた。