9.モール市場の十勝川温泉日帰り入浴ご案内
とりあえず途方に暮れつつ幹線道路まで戻ると、モール市場と幟が立つ直売所のような観光案内所のような施設が見えてきた。
そこの駐車場に車を停めて近づいてみると、入り口のガラスに日帰り入浴のご案内という紙が貼られていた。これはありがたい。
張り紙に掲載されていた十勝川温泉の日帰り入浴可能施設は、ホテル大平原、第一ホテル、観月苑、笹井ホテル、
かんぽの宿十勝川、国際ホテル筒井、富士ホテル、ホテル十勝川の8軒。
それら全ての電話番号、大人・小人の入浴料、日帰り可能時間、設備詳細が一覧表になっている。
受付時間の箇所に夏休み中の期間限定の受付時間を赤文字で明記してあることには驚かされた。この心遣いはにくい。
どこも日帰り専用温泉では無くホテル・旅館であるため、お盆時期あるいはその前後を含めた期間は、日帰り受付時間が短くなっていたり受付中止をしていたりする施設も多い。
その一覧表から「かんぽの宿十勝川」を選んだ。
ホテル大平原、第一ホテル、観月苑、笹井ホテルの4軒は大人の入浴料が1,000円と高く、ホテル十勝川は今日まで繁忙期扱いで日帰り入浴中止、富士ホテルは午後1時以降の受付なのでタイミングが合わない。
残ったのはかんぽの宿十勝川と国際ホテル筒井の二軒だけで、ちょうどかんぽの宿十勝川は今いるモール市場からこれから向かう帯広方面への道なりすぐの立地だったことが理由だ。
かんぽの宿十勝川までは本当にあっという間だった。
外観は昨日の
山花温泉リフレを髣髴とさせる如何にも公共の宿らしい雰囲気。
しかし、パパは車を降りず、ママと子供たちだけで入っておいでと言う。
「せっかくの珍しいモール泉だよ」
「今朝からキャンピングカーの調子が悪いだろ? 車の走行には問題ないけど電源がおかしくてトイレも使えない、流しも水が出ない、車内の一部のライトも点かなくなってきた」
「うん確かに」
「レンタル会社に電話して対処法があるか聞いてみる」
「了解」
まだ昨日借りたばかりで一晩しか使っていない。この先、電気が使えないと何かと困るからこれはなんとかしてもらわないと。
仕方なく私は子供たちを連れて三人だけでかんぽの宿に向かった。
建物の中に入れば寒くないと思って上着も着ないで出てきたけどやっぱり肌寒い。