2.新治村へ
想像もしていなかった展開になった。
榛名湖日記ナンバー8、5泊6日の予定が、一泊おまけ付きだ。
念願の榛名湖で年越し。新年を迎えられる。
初詣は榛名神社かな。
うきうきと榛名山を下る。
「思ってもいなかったけど、嬉しいな」とパパ。
ほんとほんと。
信じられない。
東京に帰るわけではないから温泉はどっちか一箇所に絞ってと言われて、一箇所だったら迷わず法師温泉と答える。
法師温泉の日帰り入浴は、10時半から14時まで。不定休で要問い合わせとなっているので、携帯のアンテナが立ったところで車中から電話する。
今日の日帰りはOK。13時半までに入ってもらって14時には上がっていただくことになりますとの返事。
145号線を昨日までとは反対の方角へ折れると、新中之条温泉観音の湯、高
山温泉ふれあいプラザと、次々温泉の看板が見えてくる。
群馬って、何度も通っているけれど本当に温泉が多いなぁ。
でも今日は目移りしない。なぜなら、あの憧れの法師温泉が目的地だからだ。
いつか法師温泉に入りたいと思い始めたのは、何年前だろうか。少なくとも榛名湖に足繁く通いだすより前であることは確かだ。毎年、猿ヶ京温泉センターに行っていたころも、いつも法師温泉へ折れる曲がり角の看板を見るたびに、こっちに入りたいなぁとこぼしていたからだ。
なのに今まで足を向けなかったのは、できれば泊まりで…と思い続けてきたからに他ならない。
自分が「泊まりたい温泉宿」としてずっと温めてきたのは、この
法師温泉長寿館と
二岐温泉大丸あすなろ荘の二つぐらいだ。
二岐温泉大丸あすなろ荘は念願かなって泊まることができたが、法師温泉は泊まらず日帰り入浴しちゃっていいかという迷いはあるものの、2003年の年忘れ湯に選ぶにはきっと最高のお風呂に違いない。
ミントグリーンの赤谷湖が見えてくると、猿ヶ京温泉街はすぐだ。
赤谷湖は相俣ダムのダム湖。昔の猿ヶ京温泉はそのダムの底に沈んだと聞いている。
ここまで来たら、法師温泉はあと10キロ。
何だか新治村に入ってから、山が高く感じる。
どの山も雪をどっしりとかぶっていて、パパが、もうすぐそこが新潟だからな、と言う。
雪の積もった水田も目に付く。山の麓に段々になって綺麗に並んでいる。
なんとなく景色が、今まで見てきた榛名山麓とは違う感じだ。
看板に従って、脇道へ入る。
この先にあるのは村営の赤沢スキー場と法師温泉。
ここ何日か暖かい日が続き、道に雪が無いのが幸いだ。細い舗装路は雪が降った後などアクセスが辛そうに見える。
幾度目かのカーブの先に、雪をかぶった黒っぽい木造建築が見えてきた。
あれが
法師温泉長寿館。