二岐温泉 大丸あすなろ荘

日本秘湯を守る会の重鎮 足元自噴泉の湯小屋は感動的

  • 所在地 福島県岩瀬郡天栄村湯本字下二俣5 TEL 0248-84-2311 FAX 0248-84-2568
  • 泉質 硫酸カルシウム塩泉
  • 公式サイトURL http://www.daimaruasunarosou.com/
  • 日帰り利用料 大人735円(昼食プランは2,000円)
  • 日帰り利用時間 11:00~14:30(昼食プランの場合は受付13時まで)
  • 設備等 男女別内湯、男女別露天風呂、自噴泉岩風呂など
[2002年3月のデータ(宿泊による)]

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  • 温度★★★★☆ 泉質★★★★★ 泉質に刺激はなく、大浴場併設の露天風呂はぬるくて浅い
  • 設備★★★★☆ 雰囲気★★★★★

二岐温泉 大丸あすなろ荘 宿泊体験レポート

大丸あすなろ荘 入り口 濃紺の暖簾が下がっている

 人に薦めたい温泉はどこか?と聞かれたら、一番にここをあげる。
 それほどお気に入りの温泉、二岐温泉大丸あすなろ荘…。

 ずっと泊まりたいと思っていて、その夢がかなったのは02年の3月。今こうしてまとめている11月から遡ること8ヶ月前。もっと早くまとめたかったが、思い入れが強すぎる分なかなか手をつけられず、今となってはいつものような細かいレポートを作るのは難しい。
 そこで今回は画像を中心に紹介したい。

 この季節、我が家は栃木で苺狩りをして、栃木または福島と、東北道を北上することに決めている。

門までのアプローチ

 急坂を降りて駐車場に車を停めると、濃紺の暖簾が出迎える立派な門構え。ここで日常を忘れて、あすなろ荘の結界に迎え入れられる。雪の中の小道を進んでいくこのアプローチが素晴らしい。

 ときおりちらつく雪もまた絵になる。

 こちらのお宿、千年の伝統を守る五十代目の当主は、朝日旅行会日本秘湯を守る宿の会長も務めておられる。
 伝統と格式、さらに今、温泉に、また日本の宿に大切なもの、必要なものは何か、変わらずあるべきものは何か、常に考えておられるようだ。

明るいロビー

 ロビーは瀟洒で暖かい雰囲気。
 窓の外の雪景色も一幅の絵のよう。

 凍てつく外界から入ってくると、心底ホッとする。

和洋室の和室の方 くつろぎスペース

 部屋は和洋室だった。とりたてて豪華なものはないが、シンプルで良い。

 ベッドだと、昼間でも眠くなったらごろごろできて良いかもしれない。
 私たちはほとんどチェックイン時間には宿に入るので、ついてすぐ、寝たい気分のときもあるのだ。

 けれどまず、二岐川沿いの露天風呂に行ってみよう。
 露天風呂に行くための出口に、他にスリッパは無い。誰もいないようだ…。

露天風呂までのアプローチ

 雪がほっこりとつもって、足跡がひとつもない。きゅっきゅっと白い雪を踏みしめてお風呂へ向かうのはなんと気分の良いことだろう。

大丸あすなろ荘の渓流露天風呂

 途中で道は分かれて、右手は混浴の自噴泉岩風呂と男性用の渓流露天風呂(18:00~21:00は女性用になる)。
 左手は女性用の子宝露天風呂だ。

 これが渓流露天風呂。
 明るい時間帯は女性専用にならないと思って入らなかった。で
 も入っておくべきだった(笑)。
 だって誰もいなかったんだし、あとから本で、混浴にしても良いと記載を見つけた。唯一の心残り。

 この岩風呂も素晴らしいがその奥に円形の浴槽がもうひとつあり、本当に川の傍なのだ。
 川に入らないでくださいと立て札があったが、なるほどのぼせると川に入る人がいるのだろう。手を伸ばせばすぐ、そこは二岐川なのだから。

子宝風呂の湯小屋
ランプがぽつりと…

 子宝露天風呂の手前にある湯小屋(子宝風呂)。
 妊娠しやすくなるpHの湯だなんて本当かな?
 ちょっとぬるめで寒い季節には辛いかも。ぽつんと下がるランプが雰囲気を醸し出す。

 こちら(下)が女性用、子宝露天風呂。
 男性用より高いところにあるので、川からは離れてしまうが、この浴槽の先端に行き、岩の上に腕をおいて下を見下ろせば、二岐川の流れも対岸の景色も全て独り占めだ。

雪の中の子宝露天風呂

 雪景色の中で入るに、ここの湯の温度も泉質も、まことに熱過ぎず、温過ぎず、刺激もなく、しかし肌ざわりの良い湯で、まさにこの世の極楽と忘我の心地なり。
 時がたつのも忘れて、しばし夢の中。

大丸あすなろ荘の自噴泉岩風呂 入り口

 さて、大丸あすなろ荘でもっともお勧めのお風呂はここ、自噴泉岩風呂。浴槽も撮影したのだが、湯気で何も見えなかったので、こちらは文章でお伝えしよう。

 ここは混浴の湯小屋で、元は露天風呂だったものを囲ったものだ。木組みの建物が綺麗なので、浴槽も同じ感じなのかと思ったら、とんでもない。入って吃驚だ。本当に湯が湧いている岩盤の周りに縁を作り小屋をかけただけなのだ。

 足元はまるで溶岩が噴出して固まったようにでこぼこで、ところどころ渦を巻くように穴状に深くなっており、そこからぽこりぽこりと湯が湧いている。
 湯は無色透明なので、小さな泡とともに、ゆらりゆらりと活きた湯が立ち上ってくるのがよく判る。

 もっとよく見ようと、穴の傍まで近寄って、思わず足を踏み外すと、奈落の底まで引き込まれそうだ(もちろん実際にはそんなに深くないのだろうが、雰囲気とあいまって、本当にそんな感じなのだ)。

 子宝露天風呂の後に寄り、そのときは他に誰か入ってきやしないかと冷や冷やしながらの入浴だったので、翌朝の女性専用タイムにもう一度のんびり入りに行った。
 そのときは知らなかったが、ここはバスタオルも可で、しかもぬれたタオルは宿が交換してくれるらしい。混浴と気後れせず、ぜひ女性にも入ってもらいたい湯だ。

二岐温泉大丸あすなろ荘 外観

 このほかにも、あすなろ湯という男女別の内湯もあり、そこにも露天風呂がついている。この露天風呂はたいそうぬるくて浅いので、赤ちゃんや小さい子供にはぴったりだと思う。

 二岐温泉は掘ればすぐ湯が湧くほど湯量が豊富だ。
 全ての湯はもちろんかけ流し。
 日常を忘れに行くにも、良い湯を求めて行くにも、疲れを癒しに行くにも、その全てにおいてお勧め。

 寒くなるとふと、こんな日にあの川沿いの露天風呂に入れたら…といつも思い出す、そんな温泉。 

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