子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★★ お湯はきもち温めくらい、泉質は特に刺激なし
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★★ 有名な法師の湯の浴槽は少し深い
子連れ家族のための温泉ポイント
ずっと憧れていた温泉。
鹿鳴館風の窓の湯小屋、足元湧出の極上泉。15年ぐらい前になるかな、日帰りで一度来たことがあった。でも日帰りで混浴の法師乃湯に入ったのは落ち着かず、いつか泊まりに行きたいなとずっと思っていた。
真剣に泊まろうと予約を試みたこともあったが、そういう時はたまたま空きがなく、いつかいつかと思っているうちにずいぶんと時間が経ってしまった。
人によってはフルムーンのCMの印象が強い。私はこのCMは全然覚えていないんだけど、ただフルムーンで法師温泉に泊まるっていうのは素敵だなと思う。私の両親もこの宿が好きで、何度も泊まっては秘湯を守る会のスタンプを集め、スタンプでまた泊まるということ繰り返していた。それぐらい好きな人はリピートする宿。
さて、あまりに時間が経ちすぎて、法師温泉に泊まろうかと夫が言ったとき、急には現実と思えなかったのも確か。本当に?本当に泊まっていいの?
2020年は雪の早い年で、12月半ばすぎというのにどっかりと降った。細い道の奥にあるこの秘湯に着いた時、雪が音を吸い込み、本当に時間を逆行して昭和の始めに迷い込んだようだった。
お風呂に関しては一番有名なのは混浴の「法師乃湯」。その他に女性専用の「長寿乃湯」と宿泊者専用の「玉城乃湯」がある。
チェックインして最初は玉城乃湯から入ったのでそこから紹介しよう。
館内で一番新しい浴室で、ここだけ掛け流しではない。ただし総ヒノキの浴槽は荘厳な雰囲気を醸し出していた。内湯の作りは左右対称で、桶の位置までがきっちりとデザインされているかのよう。
また露天風呂があるのも玉城乃湯だけで、この露天風呂は縁側から眺める池のような風情が感じられる。法師温泉のお湯は全ておおむねぬるめの無色透明だが、この露天風呂だけは少しだけ塩素消毒のにおいがした。他はいっさいしなかった。
長寿乃湯は小ぢんまりとした浴槽。でもここも法師乃湯同様に実は足元湧出泉で、しかも女性専用だったのである意味贅沢だった。さすがにここに入りたいという男性の声も大きかったようで、今は男性専用タイムも作られている(日帰り時間外なので宿泊しないと男性は入れない)。
そしてやはり真打は法師乃湯。ここに入りたいから泊まったのだ。女性専用タイムは20時から22時の2時間。
結論から言うと、私は20時に入りに行って22時まで忘我の境地でお湯に漂っていた。
広く天井の高い浴室に浴槽は4つ。脱衣所がある側から見て、左手前から時計回りに①②③④とナンバーを振ると、①と④には湯口が付いている。足元湧出なのになぜ湯口があるのかというと、足元から湧いているほか、床下に当たる部分からも湧いているのでそれを湯口から足しているのだ。
4つの浴槽は湧いている量や温度に少しずつし差があるのか、入り比べるとあたたかさが違う。②はぬるいが③はそれほどでもない。
寒い雪の夜だったから、③の泡が浮いてくる辺りに1時間以上は入っていた。浴室の人数は4、5人程度。みんな腰を据えたら動かない。それぞれお気に入りの位置で泡と戯れているようだ。
この時間を何に例えよう。時計は止まっているのか動いているのか、自分の中に時間の感覚がなくなる。ただ泡が鎮まり、はしゃぎ、その感触が現実に自分をつなぎとめてくれる。なんという温泉だ。
法師温泉 長寿館は取材して記事にしています。館内や宿泊しての食事に関しては、私がトラベルjp旅行ガイドに寄稿した記事をご覧ください⇒ 「法師温泉 長寿館」悠久のロマンを感じたい群馬の名湯がここに