榛名湖日記 その5 最終日  ◇伊香保石段街散策と赤城山樽でいちご狩りだよ◇


2月11日(火)

 幸いカナの熱は夜のうちに下がったようだ。
 旅好き我が家は、レナが0歳の時の北海道旅行1週間を皮切りに、去年などほぼ月に一度のペースで国内旅行に出かけていた。
 だが、今まで一度として旅先及び旅の直前に子供たちが体調を崩したことは無かったので、かなり焦った。子供は興奮して疲れたりすると熱を出しやすいとは聞いていたが、初めての体験だった。

 子供たちが寝ているうちに親は交代で朝風呂を済ませようとしたが、カナは目を覚まし、パパと一緒にお風呂に行くという。
 ホントに大丈夫か?
 …もしかして5歳にして希代の風呂好き?

 泊まった宿は一般の旅館ではないのだが、ちゃんと伊香保の本線から湯を引いている。内湯のみだが赤茶色に濁った湯が入っていて、よく温まる。臭いは僅かに鉄臭。味も鉄っぽく、ほとんど塩味はしない感じ。

 チェックアウトしたら、みんなで石段を一番上まで昇ってみよう。昨夜のパパも伊香保神社までは行っていないというから。


 ここは何のお店かな…。



 そろそろ足が疲れてきたよ。



 あっ、鳥居が見える。頂上だね。

 伊香保神社でお参りして、勝月堂の湯の花饅頭を一箱買う。この店は店内で箱詰めしているところが見えるようになっていて子供たちは覗き込んでいる。美味しそうだよね。

 今日は天気も悪いので苺狩りをして帰ることにした。カナの体調が万全なら、赤城南麓の温水プール・カリビアンビーチで遊んで帰ることも考えたが、今日はイチゴでビタミンを取って、お風呂に入って早めに帰路につこう。

 赤城山麓の樽地区には、県道255線に沿って4軒の苺狩り農園がある。
 大胡地区などにも苺狩り農園はあるが、樽は1月上旬から6月上旬までと期間が長い。
 この中で、インターネット割引のある須田いちご園に入ることにした。


 公式サイトからプリントアウトしてきた用紙を提出すると、一人100円引きになった。

 ビニールハウスの中に入ると、イチゴがびっしり。


 いつも行く佐野のいちご畑と違って、二段ロックウール栽培ということで、イチゴは空中から垂れ下がっている。赤いのが見つけやすいし、イチゴも地面に接触しないから傷みが少ない。
 
 ミルクをくれたので、もしかして酸っぱいイチゴなのかな?と思ったら、甘い甘い。
 ミルクなんていらないくらい。
 子供たちもおなかいっぱい。特にレナはいっぱい食べたよ。
 しかも最後にお土産をくれた。何故か苺狩り農園なのに、お土産は泥ねぎ(笑)。

 いつもならもう一遊びして帰るところ。今日はお風呂だけで帰るので、パパはどこでも好きなところを選んでいいよと言う。

 ここから近い立ち寄り湯は、子持村温泉センターユートピア赤城、敷島温泉ふれあいの家、金島温泉富貴の湯…。天気が良ければ根古屋城温泉センターへ行きたいが、今日は曇天で今にも雨が降りそう。
 良さそうな温泉はこのあたり、沢山あるのだが、どれももうひとつ今日の気分ではない。

 ほんとにどこでもいいの?
 それじゃあねえ…。

 赤城山麓を登っていくうち、ガスが出てきてあたりはもう真っ白だ。
 頂上付近は冬は通行止めだが、他のシーズンには東京の夜景も見えると言うサンシャイン峠方面へ、県道16号線をひたすら登り、忠治温泉の手前で看板に従い右折する。うっそうとした山道を車を走らせると、もやの中から目指す旅館が見えてきた。

 滝沢温泉 滝沢館


 入り口を入ると、ロビーは改装したばかりなのかぴかぴかだ。日本秘湯を守る会の会員宿なので、秘湯を守る会の冊子が置いてある。昼食も取れるかと思ったが、残念ながらランチはやっていないとのこと。お風呂だけお願いすることにした。

 内湯は館内に、露天風呂はいったん外に出た別棟にある。
 石の階段が冷えるので子供たちは寒い寒いと言う。 

 露天風呂は岩風呂。湯気よりもやで、辺りはぼんやりしている。
 色がとても綺麗なお湯で、少し濁った黄色だ。湯は冷えた外気温に対して適温で、刺激は特にない。臭いはごく僅かに鉄っぽい感じ。
 岩の向こうに川と言うか、沢が見えている。赤城山頂上には、大沼と小沼という大小二つの沼がある。そのうち小沼から流れ出る川なのだが、今の時期はほとんど水がないらしい。雪解けの頃になればもっと流れるのかもしれない。

 この川側の端に、源泉と飲専用のコップがある。
 冷鉱泉で湯船は沸かしているので、源泉は湯船には入らず、川のほうへ流れていく。
 先に入っていた方が、「すごく不味いのよ」と仰った。
 飲んでみると、まさに砂糖を入れる前のサイダーそのものだ。びっくりするほど口の中がしゅわしゅわする。お湯そのものを気にしだしてから本格的な炭酸泉は初めてで、とっても面白い!!
 しかし半端でなく飲みにくい。炭酸の刺激に加えて鉄さびを舐めているような味も混じっていて、なんともいえない。飲泉好きのレナでも3杯しか飲まなかった(3杯も飲めば十分か)。胃腸にはとても良いそうだ。

 湯船はちょっと深い。おちびさんのレナはぎりぎり顎まで湯面が来る感じ。階段状になった岩の上なら適当な深さだ。

 また、男女のしきりが川側に人一人通れるくらいの開いた部分があるので、子供たちは男湯と女湯を出入りした。
 カナに聞くと、男湯の方がかなりぬるかったそうである。
 うん、今日もとてもよい温泉にめぐり合えた。極楽極楽。

 赤城山を下って、国道353号線沿い、三夜沢交差点と道の駅ぐりーんふらわー牧場の間に喜楽庵という蕎麦屋を見つけた。


 ここでお昼にしよう。


 これなぁに? 蕎麦のあげたの? 美味しいよ。


 ここのお蕎麦は本当に美味しかった。今まで食べた美味しいお蕎麦ベスト3に間違いなく入る美味しさ。歯ごたえしこしこ。透明感のある味。思わず蕎麦だけおかわり。
 旅の終わりにこんな美味しい店にばったりと出会えると、とても幸せな気持ちになるね。

おしまい