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湯西川温泉小旅行
*秘湯と米作り体験の旅*

16.落人一族の隠れ里



 二時少し前、本日お泊まり予定の湯西川別館にチェックイン。
 茅葺き屋根の平家集落が川沿いに立ち並んでいるが、その手前、Y字路を右へ入るとすぐだ。
 隣に湯西川本館という旅館があるが、別々の経営。
 経営者が親族同士なので本館・別館という名称を使っていると言う。
 親族といえば、湯西川自体が今も落人一族の末裔が全て仕切っている。鬼怒川や川治のように大手資本の旅館などが進出することはまずあり得ない。
 平成の時代にまさかと思うかもしれないが、かの地では、嫁いできた嫁ですら、一生よそ者扱いされると言う。
 まさに平家でないもの人にあらずの世界だ。
 そしてそのかわり、どこかの家で一大事があったと言えば、一族郎党駆けつけるという。
 ここは今でも隠れ里のままなのだ。
 ちなみにそんな湯西川最大の悩みは、小中学校しか教育機関がないということらしい。平家落人末裔の子供たちは、湯西川中学校を出た後、日光や今市の高校に通うために寄宿生活を余儀なくされるそうだ。


こちらが今夜泊まる湯西川別館 お隣は親族経営の湯西川本館


 湯西川別館の入り口はかなり年季が入っている。
 さらに玄関入って、ちょっと並べられたスリッパも乱れている。
 がっかりした感は否めなかったが、部屋に案内されて気分は変わった。
 部屋は明るく広々として真新しかった。
 入り口が綺麗でも客室が古いより、予算があったら客室を先に改装するというのが気に入った。
 お茶請けには温泉饅頭が用意されていた。

 うちの子供たちはあまり量を食べないので、幼稚園児のレナの分は食事を頼んでいない。可能ならカナの分も頼まないくらいだ。
 ここは添い寝幼児でも施設使用料を取るが、その代わりに子供たちにも浴衣を用意してくれた。
 身体測定の検査着のように、帯が無くてもはだけないような工夫がされている。
 カナは中サイズで緑色、レナは小サイズで黄色だった。
 子供たちは浴衣があるだけでお姫様気分だ。
 窓辺に座ってお澄まし顔。


シンプルながら部屋はたいそう綺麗だった お澄まし顔の二人




1-17.湯西川別館のお風呂へ続く


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