16.落人一族の隠れ里
二時少し前、本日お泊まり予定の
湯西川別館にチェックイン。
茅葺き屋根の平家集落が川沿いに立ち並んでいるが、その手前、Y字路を右へ入るとすぐだ。
隣に湯西川本館という旅館があるが、別々の経営。
経営者が親族同士なので本館・別館という名称を使っていると言う。
親族といえば、湯西川自体が今も落人一族の末裔が全て仕切っている。鬼怒川や
川治のように大手資本の旅館などが進出することはまずあり得ない。
平成の時代にまさかと思うかもしれないが、かの地では、嫁いできた嫁ですら、一生よそ者扱いされると言う。
まさに平家でないもの人にあらずの世界だ。
そしてそのかわり、どこかの家で一大事があったと言えば、一族郎党駆けつけるという。
ここは今でも隠れ里のままなのだ。
ちなみにそんな湯西川最大の悩みは、小中学校しか教育機関がないということらしい。平家落人末裔の子供たちは、湯西川中学校を出た後、日光や今市の高校に通うために寄宿生活を余儀なくされるそうだ。