子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★★ お湯は適温、貸切風呂は自由に調節可能、泉質は特に刺激などは無し
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★☆ 混浴や貸切風呂があるため、家族での入浴に適している
子連れ家族のための温泉ポイント
※訪問当時はまだ湯西川別館という名称で、建物自体も古いままでしたが、おやど湯の季と改名してリニューアルした後も、お風呂などの様子は変わっていないようです(当時からお風呂は新しく綺麗でした)。
湯西川温泉の湯西川別館は、茅葺き屋根の平家集落が川沿いに立ち並んでいるその手前、Y字路を右へ入るとすぐだ。
隣に湯西川本館という旅館があるが、別々の経営。
経営者が親族同士なので本館・別館という名称を使っていると言う。
親族といえば、湯西川自体が今も落人一族の末裔が全て仕切っている。鬼怒川や川治のように大手資本の旅館などが進出することはまずあり得ない。
平成の時代にまさかと思うかもしれないが、かの地では、嫁いできた嫁ですら、一生よそ者扱いされると言う。
まさに平家でないもの人にあらずの世界だ。
そしてそのかわり、どこかの家で一大事があったと言えば、一族郎党駆けつけるという。
ここは今でも隠れ里のままなのだ。
ちなみにそんな湯西川最大の悩みは、小中学校しか教育機関がないということらしい。平家落人末裔の子供たちは、湯西川中学校を出た後、日光や今市の高校に通うために寄宿生活を余儀なくされるそうだ。
湯西川別館の入り口はかなり年季が入っている。
さらに玄関入って、ちょっと並べられたスリッパも乱れている。
がっかりした感は否めなかったが、部屋に案内されて気分は変わった。
部屋は明るく広々として真新しかった。
入り口が綺麗でも客室が古いより、予算があったら客室を先に改装するというのが気に入った。
お茶請けには温泉饅頭が用意されていた。
湯西川別館は5つのお風呂があるという。
そして湯西川別館で使っている源泉は三種類。
59度の一番熱い高手観音の湯(4軒の宿で共同使用)。
51度のまあまあ熱い前山(まえのやま)源泉(12軒の宿で共同使用)。
42.3度のぬるい湯西川館源泉(2軒の宿で共同使用)。
そして宿に5つあるお風呂のうち、男女別大浴場と貸切家族風呂と女性用露天風呂は高手観音の湯をメインに使っている。
混浴露天風呂のみ違っていて、前山源泉が引かれている。
そして残ったぬるい湯西川館源泉は各浴槽の温度調節に使用しているとのこと。特に男女別大浴場で多く使っているということだった。
まず二階の女性専用露天風呂。
露天風呂は隣り合わせに広々とした岩風呂が二つあり、ひとつが混浴、もうひとつが女性専用となっていて竹垣で仕切られている。
混浴より女性用の方が少し広く、景色も混浴の方が開けているが、見えるのは湯西川別館の玄関棟や隣の湯西川本館の建物ばかりでそれほど良い景観でないのに対し、女性専用は草花の植えられた庭が見えて悪くない。
湯西川のお湯は無色透明。
湯西川別館のお湯も湯西川公衆浴場や西川温泉のようにゆで卵の臭いがするが、ここのが一番傷んだゆで卵のようだ。
軽いきしきし感のある肌触り。
浴槽の一角にコップの備え付けられた湯口があり、そのあたりから時々熱い湯が流れてくる。
かなりお風呂が広いので、ゆったりと入れる。
周りには草花が植えられていて、気持ちが和む。
混浴露天風呂の方は、中央に大きな石が突き出している。
周りはぐるりと竹垣で囲われ、屋根も付いているが、外に面した一角だけ開けていて、湯西川別館の一階部分や隣の湯西川本館の建物が見える。
ここだけ前山源泉を使用しているためか、お湯の印象が少し違う。
ゆで卵の臭いが薄く、肌にきしきしとくる感触も強いような気がする。
男女別大浴場は宿で唯一シャワーが設置されている。
コップを備え付けた湯口があり、そこからはぬるい湯西川館源泉が出ていて、浴槽内から熱い高手観音の湯が注入されている。
隅の方にはジャグジーも付いている。手動で、スイッチを入れて15分だけ稼働するようになっている。あまりにお湯が熱めなので、とても15分もジャグジーに入っている気になれないが。
浴槽内の壁面に吸い込み口があるが、これはゴミ取りのための設備で、全てのお風呂は非循環の掛け流しだということだった。
最後に貸切風呂、鶺鴒の湯。
こちらは御影石の四角い浴槽で、先客がいなければ札を返して自由に使うことができるようになっている。
二つあるカランからは、冷水と源泉がそれぞれ出るようになっており、使う人が自由に浴槽の温度調節をして良いと明記されている。
つまり赤ちゃんを連れて入りたい人は、思いっきりぬるめても良いということ。その代わり、上がるときには必ず水を止めていくことになっている。家族風呂で温度調節自由というのを明快にルール付けしているのはなかなか画期的だ。
私は温泉としてはともかく、お風呂としては都市部のセンター系日帰り温泉よりも、こういう山や野の花が見えるようなお風呂が好きだ。
そしてもっと好きなのは、その土地の素顔が見える温泉だ。
やっぱり栃木路はいいなぁ。
栃木は関東と南東北の境目のように思う。